更衣時間に対する賃金未払いの是正勧告(2022/7/15)
更衣室で着替えることは義務付けておらず着替えは労働時間ではないとして、
その時間分の賃金支払いをしていないという飲食大手に対し、
労働基準監督署から是正勧告が出されたというネットニュースを見ました。
こういった記事を読むと基本の大切さを感じます。
労働時間とは何ぞやというのは古典的な問題で、
労働時間の判断は裁判例にも蓄積があり行政のガイドラインも示されています。
詳細が分からないのでこの件がどうかというのは言及できませんが、
経営側はもしかしたら判断が甘かったのかもしれません。
弊所でお話を伺う中でも、うちは大丈夫とおっしゃる方もいます。
単純に知らなかったり、この程度は問題ないと考えることが多いのではないかと想像します。
えてして悪気はないようです。
しかし労働者側から考えれば、それは納得できないだろうと想像されることもあります。
実際に公になっている問題は氷山の一角であろうことから、
現実には古典的な問題は広く存在していることを感じます。
先日の参議院選挙でも物価高対策として、多くの政党が最低賃金の引上げを掲げました。
それも当然に必要なことですが、いかに最低賃金が引き上げられても、
正当に労働の対価が支払われなければ意味を成しません。
もちろん正当な労働であることが肝心で、労働でないところに賃金を支払う必要はありません。
そうなれば、労働者とは、労働時間とは、といった古くて新しい議論は社会にとって重要です。
そしてそういった議論を通じて、よりよい社会環境が実現されることを願います。