マイナンバーカードの健康保険証としての利用開始(2021/3/5)

令和3年3月4日よりマイナンバーカードの健康保険証としての利用が始まりました。

4日から利用できるようになったのは一部の医療機関で、

11の都府県で合わせて19か所の診療所や薬局などということです。

厚生労働省としては3月末から全国で本格的な運用をしていくとのことです。

 

医療情報の一元管理は、とても便利なものである一方、

健康保険証として利用するための設定についてハードルを感じるケースや、

個人情報の漏洩などを懸念する意見もあります。

また医療機関のシステム改修にかかる費用負担も少なくありません。

 

本来、もっとも恩恵を受けられそうなのは医療機関を多く利用する高齢者だと思いますが、

マイナンバーカードを健康保険証として利用するための過程がご高齢の方には難しく、

また個人情報についてもパスワードがあるから大丈夫との意見もありますが、

パスワード管理がご高齢の方にはやはり難しいところもあるのではないでしょうか。

 

総務省のHPによれば、令和3年2月1日時点のマイナンバーカードの交付率は全国で25.2%です。

また、カード情報を読み込むための機械を導入する医療機関からの申し込みは、

令和3年2月21日時点で32.8%となっているそうです。

 

コロナのワクチン接種でもマイナンバーを活用する話は出ていますので、

より安心安全で便利な仕組みづくりを願っています。

外出先で隣の席の会話を耳にして(2021/2/26)

外出先で隣の席の男性2人が、NISAやiDeCoの話をしているのを耳にしました。

NISAは、株式などの金融商品投資に関する非課税制度です。

iDeCoは、個人型確定拠出年金の制度です。

 

お2人ともそういった分野の関係者というわけではなく世間話的な感じで、

一方の男性がもう一方の男性にそれらの制度の説明をしていました。

 

以前、老後2000万円問題が話題になった時も

個人の資産形成の関心が高まったことがありましたが、

昨今のコロナ禍による不況においても関心が高まっているのかもしれません。

自衛の気持ちの表れと言えるのかもしれません。

 

個人の資産形成は、より重要性を増してくると考えられます。

またNISAやiDeCoも、資産形成の手段として検討に値する制度です。

一方で、厚生年金や国民年金を忘れてはなりません。

また、このコロナ禍の中で雇用保険が果たしている役割も非常に大きいところです。

 

会社としても、労働者の生活をどう考えるのかは重要な課題であり、

労働者の生活を支えるためには、一つ一つを個別に考えるのではなく、

いろいろな要素を総合的に検討することが大事です。

弊所としても少しでも幅広い情報を提供できるよう努めていきたいと思います。

令和3年度雇用保険料率(2021/2/19)

令和3年度の雇用保険料率が厚生労働省のHPにアップされています。

昨年度に引き続き変更無しとなっています。

 

令和3年度の雇用保険料率は以下のとおりです。 

●一般の事業          9/1000

 うち、労働者負担:3/1000、事業主負担:6/1000


●農林水産・清酒製造の事業 11/1000

 うち、労働者負担:4/1000、事業主負担:7/1000


●建設の事業          12/1000

 うち、労働者負担:4/1000、事業主負担:8/1000


下記のURLより、厚生労働省ホームページをご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html

 

なお、高年齢労働者の雇用保険料の経過措置の終了に伴い、

令和2年4月1日から高年齢労働者についても雇用保険料の納付が必要になっています。

今年度の労働保険料の計算の際にはご注意ください。

(2020/3/20のブログをご参照ください)

 

令和3年度の雇用保険の保険料率は上記のとおり変更無しとなりましたが、

雇用保険財政はコロナの影響によりかなり厳しい状況になっています。

失業者の増加や雇用調整助成金の支給によって支出は大きく、そして長期化しています。

根本的な解決としては、やはりコロナを押さえ込み経済を上向きにすることなのでしょう。

令和3年度協会けんぽの保険料率(2021/2/12)

令和3年度の協会けんぽの健康保険料率及び介護保険料率が、

協会けんぽのHPに掲載されています。

 

東京都の健康保険料率は9.84%(令和2年度9.87%)となり、前年度比で0.03%下がっています。

介護保険料率は、全国一律で1.79%から1.80%へ引き上げとなっています。

 


これらの保険料率は、一般の被保険者は3月分(4月納付分)から、

任意継続被保険者については4月分(4月納付分)から適用となります。


なお、東京近県の協会けんぽの健康保険料率は以下のようになっています。

 埼玉県  9.80%(令和2年度9.81%)

 千葉県  9.79%(令和2年度9.75%)

 神奈川県 9.99%(令和2年度9.93%)

 

詳細は、下記のURLより、全国健康保険協会(協会けんぽ)ホームページをご参照ください。

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3130/r3/20205/

 

昨年は、コロナの影響で医療の状況も例年とは大きく異なっていたと思います。

医療提供体制が今もひっ迫した状況が続くなかで、一般診療にそのしわ寄せがいっていたり。

またコロナ対策の影響なのか、インフルエンザがあまり流行していなかったり。

外出自粛によって病院にかかること自体を控える、受診控えが起きていたり。

 

また失業された方が多くいらっしゃるので、

協会けんぽの被保険者資格を喪失された方も多いのではないかと思います。

それは保険料収入の悪化につながります。

 

健康保険財政を考える上で、例年と同様に扱うのは難しい年になった気がしますが、

一定の負担で医療を受けられる日本の健康保険制度は優れた制度であると考えます。

この制度が維持されるよう適切な財政検証がなされることを願っています。

ワクチン接種におけるマイナンバー利用(2021/2/5)

残念ながら、緊急事態宣言が延長されることになりました。

医療の面は厳しい状況が続いているようですので、もちろん油断できませんが、

新規感染者数は減少傾向にあり良い傾向にはあるのだろうと思います。

弊所でも地道にコロナ対策を継続していきます。

 

そのような中、ワクチン接種も具体性を帯びてきており、

ワクチン接種の管理にマイナンバーを利用するという案が出ているようです。

 

予防接種を行ったとき、市町村長又は都道府県知事が、

予防接種に関する記録を作成し5年間保存することとされています。

こういった仕組みとの連携が図れるのであれば効率も良いように思われます。

 

ただこうした仕組みとは別にシステムを構築するという報道もあり、

どのような接種体制を構築するのか関心をもって見ています。

いずれにしてもワクチン接種が円滑かつ迅速に行われるよう期待するところです。

 

そして、重要なことはセキュリティ面です。

これまでも行政のシステム構築はあまりうまく行われてきませんでした。

つい先般も新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)の不具合が報道されました。

その不具合の内容もアプリの存在意義を揺るがす深刻なもので、とても残念なものでした。

 

信頼できるシステムの構築には時間と労力がかかります。

マイナンバーの活用は進めていくべきものと考えますが、

今回のワクチン接種に利用するかどうか慎重に判断していただきたいところです。

電子マネーでの賃金支払い(2021/1/29)

今や多くの方が電子マネーの恩恵にあずかっていると思いますが、

電子マネーで給料を支払うことについて、

厚生労働省の審議会にて議論されているという報道を目にしました。

 

現在の労働基準法では通貨払いの原則が規定されています。

労働基準法第24条「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。…略」

 

つまり法律上は今も現金で支払うことになっているのですが、

現実は口座振り込みで行ってるところも多いと思います。

これは、労働者の同意があれば、

労働者が指定する本人名義の口座に振り込むことができるとされているためです。

 

賃金は労働者の生活基盤を支えるものです。

そのためには安全で安心な運用ができるものでなければなりません。

また決済手段として有効なものであることも必要でしょう。

 

いつの間にか誰かに取られてしまっていたとか。

運営主体の経営が悪くなり、使えなくなった又は引き出せなくなったとか。

操作が分からなくて支払い手段として使えない、などといったことがあってはなりません。

現状の議論では、一定の基準を満たす場合に限って解禁するとなっているようです。

 

日本では電子マネーはまだあまり普及していない印象があります。

政府としてはこういった形でのデジタル化の推進を図りたいのかもしれません。

ただ一方で、電子マネーの不備なども報道されることがあります。

 

一部には今春に解禁かという報道がありましたが、

あまり拙速にならず、慎重に議論していただければと思います。

医療従事者の方々に感謝(2021/1/22)

弊所代表の私的な記事になりますが。

おととい(令和3年1月20日)の朝に発熱がありました。

結果としてはコロナでもインフルエンザでもなく、風邪であろうということで一安心でした。

 

ただ当日はやはり慌ただしく。

まずはコロナかどうかを判断しないと動けないと考えて、最寄りの内科医に電話をしました。

電話での診断でコロナの検査をすべく大きな病院への紹介状を書いていただくことになりました。

併せて薬局で解熱剤を受け取れるよう処方箋も薬局に手配していただきました。

 

大きな病院では予約以外には診療を行っておらず、

数十分程度の待ち時間で検査をしていただきました。

検査後は院内の別室に待機し約1時間半程度で検査結果を伺うことができました。

 

最も有難かったのは、発熱を自覚してから半日で結果を知ることができたことです。

コロナか否かによってやるべきことがだいぶ違うので、

判定されない状態が続くことを最も懸念していましたが、

陰性であったこともあり、仕事にも生活にも最小限の影響で済みました。

 

もちろん、偽陰性の可能性もあるので油断はしないようにと念押しもされました。

手配していただいた解熱剤を帰路に薬局で受け取って、そこから外出を避けて養生しています。

いずれにしても円滑な対応をしていただき有難い限りでした。

 

また、短時間ですがコロナ疑いの状態になり、ほんの少し嫌な思いをしましたが、

きっと医療従事者の方はとんでもなく嫌な思いをしているのだろうと想像しました。

医療従事者の方々を応援しています。

年金関係の押印を求める手続きの見直し(2021/1/15)

令和2年12月25日付で厚生労働省関係省令の一部を改正する省令が公布及び施行され、

年金関係の手続きにおいて、押印を求める手続きの見直しが行われました。

令和2年7月に閣議決定された「規制改革実施計画」を踏まえたもので、

国民や事業主等の押印等を不要とするための見直しです。

 

多くの手続きの見直しが行われているのですが、

例えば、企業の手続きで頻度の高いものとして以下の手続きが挙げられます。

 

・厚生年金保険 被保険者資格取得届

・厚生年金保険 被保険者資格喪失届

・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届(いわゆる算定)

・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届(いわゆる月変)

・厚生年金保険 被保険者資賞与支払届

 

年金事務所でもコロナ感染による閉鎖が相次いでいます。

数日で再開しているものの、感染リスクを避けるためには、

直接持ち込むことをなるべく減らすことが必要かと思います。

 

また書類に押印が必要だから出勤しなければいけないという環境を変えられれば、

少しでも感染リスクを下げることができるかもしれません。

押印廃止の動きはまだ始まったばかりではありますが、

この動きが進んでくれることを期待しています。

 

もっと言えば、電子申請の方が効率的で効果的であると思います。

弊所も電子申請によって手続きを行っていますが、書類での申請よりも迅速です。

各企業で電子申請の環境を整えることが困難であれば、

電子申請の環境のある社労士事務所を活用していただければと思います。

年始のご挨拶(2021/1/8)

明けましておめでとうございます。

 

ただ残念ながら、あまりめでたい気分の方は多くないかもしれません。

新型コロナの新規感染者数や重症者数は日を追うごとに最多を更新し、

年明け早々に緊急事態宣言が発出されました。

 

コロナによる失業者数は約8万人と報道されていますが、

おそらくこれは把握できている人数のみであり、実際はより多くの方が職を失っています。

また収入の減少に苦しんでいる方はさらに多くいらっしゃるのでしょう。

 

社労士ができることは何だろうと考えます。

社労士の主業務たる雇用保険や社会保険は、失業や病気などによる所得の減少や喪失を補います。

まさに現下の状況のように失業したり健康不安に直面したときにこそ、

社会保険がその本領を発揮します。

 

ここで重要になるのは平時の適正手続きです。

平時に適切な手続きを行っていれば保険給付を受けることができますが、

その手続きがおろそかになっていれば保険給付を受けられないかもしれません。

この備えに資することこそ、社労士の存在意義であろうと考えます。

 

改めて、社労士としての役割を全うできるよう務めていきたいと思います。

今年もよろしくお願いいたします。

年末のご挨拶(2020/12/25)

今年も一年、当ブログをご愛読いただき誠にありがとうございました。

 

今年は、コロナウイルスに振り回された一年でした。

法律よりも現実が大きな影響を受けました。

 

特に小売業やサービス業などの対面での接客が重要となる業種では、

衛生環境を保つための工夫が求められ、さらには営業時間の短縮が求められるなど、

かなり厳しい経営環境となりました。

 

また、医療や保健福祉関係では過酷な環境が続いています。

財政支援があったとしても専門人材はすぐには増えません。

どれだけITが発展しようとも、人がいかに重要であるかが分かります。

 

逆に、人と会うこと、話すことの重要性も再認識したところです。

働き方を変えようといっても、変えられない働き方があり、

オンラインでといわれても、オンラインでは済まないことがあります。

 

ただこれも変化の一つであると思います。

事業の存続のためには、疫病の流行のみならず様々な危機を乗り越える必要があります。

歴史ある事業は多くの危機を乗り越えてきた事業であり、

それだけ社会に必要とされるものであると考えます。

 

今年のブログはこれで最後となります。

来年はマスクのいらない生活ができることを、心より祈念しています。

働き方の試行錯誤(2020/12/18)

令和2年11月16日、厚生労働省において、

第4回「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」が開催されました。

 

政府はコロナ以前より、助成金なども活用しながらテレワークを推進してきました。

そのうえで、今年はコロナによって働き方の変化が余儀なくされ、

テレワークも例年になく注目された年になりました。

 

実際にテレワークに取り組んだ企業も多かったと思うのですが、

それが定着したかというと、必ずしもそうとは言えないようです。

テレワークが適用できるかどうかは、仕事内容や職場環境、企業規模等によって

かなり異なることが浮き彫りになったと思います。

 

コロナは今も感染拡大を続けており、収束の見通しは立ちません。

テレワークが可能な企業や対象の方々は多くの場合、すでに実施しているのだと思います。

コロナという強制力があっての現状であるとすれば、今以上の普及は難しいのかもしれません。

 

弊所でも、打ち合わせにWeb会議を導入したりすることで、

従来のやり方を変えても業務を行えることが確認できた一方で、

やはり対面の打ち合わせが重要であることも再認識しました。

 

また、これを機に情報通信機器を高性能のものに変え、

単純に性能が良くなったことで事務処理が早くなったということもありました。

やったことが無駄にはなっていないと感じますし、無駄にならないようにしたいところです。

 

疫病の流行、自然災害の発生、大規模トラブルによる障害など、

事業継続を妨げるような事象は今後も不可避的に発生します。

事業を安定的に継続していくためには、どのようなことが必要なのか。

それを考えるよい機会になった年だったと思います。

年金事務所の閉鎖と業務再開(2020/12/11)

連日新型コロナウイルスの感染拡大の報道がされています。

12月になってまだ11日しか経過していませんが、

渋谷年金事務所と大田年金事務所で新型コロナウイルス感染者の発生が確認されました。

 

渋谷年金事務所では12月7日(月)に職員の感染が確認されましたが、

すでに消毒作業等を終え12月9日(水)から業務を再開しています。

 

大田年金事務所では12月9日(水)に職員の感染が判明し、事務所を閉鎖しています。

ただし、電話対応は通常通り行っており、

また入口前では相談を伴わない書類の受付を行っているそうです。

他の年金事務所でも数日で業務を再開しているので、間もなく再開するのではないかと思います。

 

ここ最近、年始の営業は長時間労働と絡めて報道されることもありましたが、

今年はまた少し異なる観点で注目されそうです。

 

特に危機感があるのは病院でしょう。

現下の感染状況で病院が開いていないとなると混乱もありそうです。

しかしながら、医療従事者の方々はこの一年で相当疲弊されていることと思います。

せめて少しでも感染者数が抑えられることを願っています。

 

また、エッセンシャルワーカーという言葉が使われましたが、

年始の小売業やサービス業はどのように対応するのでしょうか。

スーパーや百貨店、コンビニなど対応にはバラツキがあるようです。

 

帰省や初詣なども例年とは異なるものになるのでしょう。

厳しい年末年始が待っているようです。

令和3年の祝日の移動(2020/12/4)

もうひと月ほどで令和3年なのですが、

令和2年11月27日に国会において来年(令和3年)の祝日が決まりました。

 

ご存知の方も多いと思いますが、オリンピックが延期されたことに伴い、

令和3年(2021年)に限り祝日が移動しました。

 

・7月22日 海の日…五輪開会式の前日(本来は7月第3月曜日)

・7月23日 スポーツの日…五輪開会式(本来は10月第2月曜日)

・8月8日 山の日…五輪閉会式(本来は8月11日)

・8月9日 山の日の振り替え休日

 

祝日は「国民の祝日に関する法律」に定められています。

祝日を変更するための特措法が11月27日に国会で成立したため、

令和2年も残すところ一か月となったところで、やっと正式に決まったということです。

 

さて、年間カレンダーを見ながら、その年の労働日を検討する場合もあるかと思います。

祝日を所定休日としている会社様も多いですし、

時間外労働の上限規制が始まってから変形労働を採用した会社様もあると思います。

年間の所定休日が変われば給与計算にも影響があるかもしれません。

 

ところが、いま皆様のお手元にある令和3年のカレンダーに、

必ずしも上記の祝日の移動が反映されているとは限りません。

正式に決定したのが11月27日なので、それ以前の製造段階では未決定なわけです。

ぜひご確認いただければと思います。

 

また一方で、祝日がどうあれ来年の状況を予測すること自体が難しいかもしれません。

東京オリンピックが開催され、世界に明るさが戻ってくることを願っています。

e-Govリニューアル対応(2020/11/27)

労働社会保険関係において電子申請で利用されるe-Govシステムが

令和2年11月24日(火)よりリニューアルされました。

直前の約1週間がメンテナンスのためサービス停止となっていたため、

弊所でもリニューアル当日から新しいシステムに取り組むこととなりました。

 

入り口のログインの仕組みが変わり、認証方法も追加され、

クライアント側のアプリケーションのインストールも必要です。

また既存データの紐づけなども行い、多少時間はかかりましたが、

無事に使える状態に持っていくことができました。

 

実際に雇用保険、社会保険、労働基準関係などの申請を行い、

多少の混乱はあったものの、手続きを行うことができました。

e-GovのHPではエラー情報などが出ていたり、すでに修正版のアプリケーションも出ていますが、

どうやら全体としても大きな混乱なく移行できたように思われます。

 

ただおそらく、準備や覚悟をしていなかった方には、

相当インパクトがあったのではないかと推測します。

 

中身が大きく変わったという印象はありませんが、画面と操作は変わりました。

使い勝手としては、以前より向上したのではないかと思います。

逆に機能がなくなってしまったものもあるようですが、

使い慣れていくと気にならないのかもしれません。

 

電子化の動きは今後も進んでいくものと思います。

適時対応していけるよう努めていきます。

三六協定などの押印廃止の答申について(2020/11/20)

令和2年11月11日、第164回労働政策審議会において、

届出等の押印欄を削除することなどを内容とした

労基法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について、

おおむね妥当と認めるとの答申がありました。

 

詳しくは、下記のURLより厚生労働省のHPをご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14742.html

 

それに伴って押印欄を廃止した三六協定の改定案がアップされています。

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000692797.pdf

 

押印欄を廃止する代わりに、

労働者の代表者であることやその代表者が監督又は管理の地位にあるものではないこと、

そして民主的な手続きによって選出されたことなどをチェックボックスで表現しています。

 

ただし、これによって労使協定の署名や押印が即不要になるというわけではありません。

今回の改正は行政への届出である「労使協定届」での押印廃止の話です。

 

誤解が多いのですが、「労使協定書」と「労使協定届」は異なるものです。

使用者と労働者が合意したことを示す書類が「労使協定書」であり、

合意したことを行政に届出をする書類が「労使協定届」です。

 

三六協定は、労使協定書と労使協定届を兼ねて作成し

届出をすることが許容されてきた経緯があるので、

多くの誤解が生まれてしまったところだと思われます。

 

なお、この改正省令の施行は令和3年4月1日を予定しています。

国のルールを変えることなので時間がかかるのは致し方ないところですが、

もどかしさを感じるところでもあります。

多様な働き方推進の一環として(2020/11/13)

多くの給与計算担当者の方が年末調整の準備をされていることと思います。

年末調整は所得税に関することですので、あまり言及すべきではないかもしれませんが、

周囲と話をしている中で基礎控除の改正がたびたび話題になるので少し触れてみます。

 

基礎控除は、もともと職業や扶養者の有無に左右されず、誰でも一律で受けられる控除です。

今般の改正により、この基礎控除が原則10万円引き上げられることになりました。

控除が引き上げられるということは税金が低くなるということです。

誰でも受けられる控除を厚くすることで、どのような働き方でもその恩恵を受けることができます。

 

その一方で、給与所得控除が原則10万円の引き下げとなっています。

給与をもらって働く人にすれば、一方で10万円上がり、一方で同額下がったので、

税金への影響がなくメリットはありません。

どういうことなのだろうという話になります。

 

これは、例えば自営業者など、給与をもらって働くのではない人にとっては、

基礎控除の原則10万円引き上げだけが適用されるので減税になる仕組みです。

つまり、給与をもらって働く人は現状を維持したまま、

その他の多様な働き方を推進していこうという税務上の政策となっています。

 

いまのコロナによって実際に兼業や副業が増加し、

もしかしたら図らずもですが、多様な働き方を選択せざるを得ない人がいます。

こうした民間の変化が先行し、制度的な整備が追い付いていないように思います。

 

不測の事態ゆえに致し方ないところはありますが、

社会的な危機であればこそ、社会保険や社会保障がその本領を発揮すべきところです。

多くの方がより安心して生活していけるよう制度を整備してもらいたいと願います。

 

なお、基礎控除や給与所得控除の改正は上記が全てではなく、正確な表現でもありません。

趣旨に則した形で記載していることをご容赦ください。

コロナ禍における健康保険組合(2020/11/6)

先日、健康保険組合の方と雑談をしていました。

病院や薬局は、コロナによる受診控えで経営が厳しくなっているという話から、

健康保険組合はどうなのかと話を振ってみました。

 

意外なことに、少なくともその健康保険組合については、悪くないということでした。

理由として、受診控えによって医療費の支出が減少している一方で、

健康保険料の徴収については変わらず行われていることから、

収支が改善しているというお話でした。

 

ただし、これは短期的な話です。

今後さらに雇用が失われたり、給与が減少することで、

保険料を納めるべき被保険者自体が減ったり、標準報酬が下がります。

それが引いては、健康保険組合の収入を減らすことは当然に推測されることです。

 

従来より、健康保険組合の全体的な傾向として財政が厳しいとされてきましたが、

健康保険組合連合会がコロナによるリスクを踏まえた今後3年間の収支見通しを発表し、

解散が多発する水準まで保険料率が上昇する時期が、

これまで想定していた2022年度よりも1年早まり21年度になると試算した、という記事を見ました。

 

もちろん、これは健康保険組合だけではなく協会けんぽにも言えることであり、

つまり健康保険制度全体に言えることです。

もっと言えば、年金にも国の財政にも言えることです。

 

コロナ対策をしつつ、経済を回していく。

言うは易く行うは難しですが、やらなければならないことだと感じます。

令和2年の冬季賞与(2020/10/30)

そろそろ年末が見えてきました。

冬のボーナスに頭を悩ませている経営者の方も多いと思います。

 

例えば、TDRを運営するオリエンタルランドで賞与が70%減になるそうです。

ANAでは冬の賞与は支給されないなどの報道もありました。

大手企業では、春闘の際に冬の賞与についても話し合いを終えていることがありますが、

それでも再度の労使交渉で冬の賞与の減額を行った企業もあります。

 

クリスマスや年末年始を見据えて支給するのが冬の賞与ですが、

金額だけでなく支給のタイミングを検討することなども一考の余地があるかもしれません。

 

賞与がないと生活の厳しい労働者もいるでしょうし、

場合によっては離職者も出てくるものと考えられます。

少子高齢化による労働力人口の減少は、大きな流れとして止められません。

優秀な人材の流出は避けたいところでしょう。

 

もちろん賞与というのは様々な経営施策のうちの一つであって、

そこだけ切り取るべきではないのかもしれませんが、心理的な影響は大きいようにも思います。

 

中小企業においては、これから検討するというところも多いはずです。

資金繰りが厳しい中での賞与は、経営者の労働観が表現されることになるかもしれません。

まさに経営判断と言えそうです。

e-Gov更改について(2020/10/23)

労働社会保険関係において電子申請を行う場合、現在2つのサイトがあります。

1つは今年の4月から稼働したgBizIDというサイトであり、

もう1つは約20年ほど前から運用されているe-Govというサイトです。

 

後者のe-Govシステムが、この11月に大幅リニューアルされることになっています。

本来は9月に行われる予定でしたが、諸事情により11月24日(火)に延期されました。

 

詳しくは、下記のURLより厚生労働省のHPをご参照ください。

https://www.e-gov.go.jp/shinsei/news/egov/info/news20201005.html

 

この切り替え作業のため、以下の期間サービスが停止します。

11/18(水)12:00〜11/24(火)9:00

 

資料を確認していると、使い勝手が大きく変わりそうです。

残念ながら使ってみないことには、実際にどうなるのか想像が難しいのですが、

資料を見ている限りでは既存データの引継ぎなどには難がありそうです。

更改したその日に閉鎖を余儀なくされるような事態が生じないよう祈っています。

 

一方で、リニューアル後の機能性は向上すると思われます。

より利便性の高いサービスを受けられるのではないかと期待しています。

 

コロナの影響で、行政でもシステムの活用が急速に進んでいる感がある一方で、

行政のシステム構築は巧みであるとは言えない状況が続いています。

今後システム化を避けて通ることはできません。

ぜひ良い仕組みを作っていただきたいと切に願います。

非正規社員に対する待遇を巡る最高裁判決(2020/10/16)

非正規社員に対する待遇が不合理と認められるか否か。

労働契約法20条(改正前)の適用を巡って争われた5件の裁判について、

令和2年10月13日に2件、その2日後の15日には3件の最高裁判決が示されました。

 

10月13日の判決では非正規職員への賞与や退職金の支給が

「不合理と認められるものに当たらない」との判断が示され、

10月15日の判決では非正規社員についての扶養手当、夏期冬期休暇、有給の病気休暇などが

「不合理と認められるものに当たる」との判断が示されました。

 

一見すると全く反対の判断が示されたようにも感じますが、

そこはそれぞれの判決を精査する必要があります。

 

平成30年6月1日には、同様に労働契約法20条を巡った最高裁判決が2件出ました。

ハマキョウレックス事件と長澤運輸事件であり、

労働契約法20条の解釈に関して初めて最高裁の判断を示したものとして非常に注目を集めました。

 

労働契約法20条は、働き方改革の流れの中で、

パートタイム・有期雇用労働法として整理されており、

今年の4月1日に施行されています。(中小企業は令和3年4月1日適用)

 

長期政権となった安倍政権の下、雇用が増える一方で非正規社員も増えました。

今後の大きな流れの中で非正規社員の待遇は重要な課題となってきます。

今回の司法の判断を受け、行政の動きにも注視していきたいと思います。

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