大学等卒業者の就職状況調査(2015/5/24)

厚生労働省は5/19に平成26年度「大学等卒業者の就職状況調査」を発表しました。

これは、平成27年3月に大学を卒業した学生の就職状況などを文部科学省と共同で調査し、

平成27年4月1日現在の状況を取りまとめたものです。

 

それによると、各区分別の就職率は以下の通りです。

●大学                  96.7%(前年同期比2.3ポイント増)、

●短期大学(女子学生のみ)     95.6%(前年同期比1.4ポイント増)

●高等専門学校(男子学生のみ) 100.0%(前年同期と同率)

●専修学校(専門課程)        94.7%(前年同期比1.7ポイント増)

なお、就職率とは、就職希望者に占める就職者の割合です。

 

この結果について、景気回復による企業の採用意欲の高まりや、

少子高齢化に伴う労働力人口の減少を、その要因に挙げることができると思います。

様々な要因があるとは思いますが、いずれにせよ就職率は上がっており、

企業の採用難の傾向は続いていくものと考えられます。

 

日銀の黒田東彦総裁は、ポルトガルで開催された欧州中央銀行の会合で

少子高齢化に伴う労働力人口減少が日本の潜在的な経済成長力に対し、

「大きな脅威となる」と指摘し、その上で、成長力強化に向け、「労働生産性の引き上げに加え、

女性や高齢者の労働参加率を高めることが必要だ」と強調したとのことです。

 

人材(労働力)にはどれだけの価値があるのか。

どういった働き方がいいのか。できるのか。

そこにどれだけの時間やコスト、手間暇をかけるのか。

国も企業も国民も、しっかりと取り組んでいかなければならない課題だと思います。

ブラック企業の企業名公表追記(2015/5/20)

前回のブラック企業の企業名公表について、

5/18の平成27年度臨時全国労働局長会議の資料が公開されましたので、追記します。

 

<概要>

長時間労働に係る労働基準法違反の防止を徹底し、企業における自主的な改善を促すため、社会的に影響力の大きい企業が違法な長時間労働を複数の事業場で繰り返している場合、都道府県労働局長が経営トップに対して、全社的な早期是正について指導するとともに、その事実を公表する。

(平成27年5月18日より実施)

 

<指導・公表の対象とする基準>

次のいずれにも当てはまる事案

1.「社会的に影響力の大きい企業(①)」であること

2.「違法な長時間労働(②)」が「相当数の労働者(③)」に認められ、

  このような実態が「一定期間内に複数の事業場で繰り返されている(④)」こと

 

以下、上記①〜④を具体的に記載

①…複数の都道府県に事業場を有している企業であって、

   中小企業基本法に規定する中小企業に該当しないもの

②…労働時間、休日、割増賃金に係る労働基準法違反が認められ、

   かつ、1か月当たりの時間外・休日労働時間が100時間を超えていること

③…1箇所の事業場において、10人以上の労働者又は当該事業場の4分の1以上の労働者において、

  「違法な長時間労働」が認められること

④…概ね1年程度の期間に3箇所以上の事業場で「違法な長時間労働」が認められること

ブラック企業の企業名公表(2015/5/16)

5/15、塩崎恭久厚生労働相は、違法な長時間労働を繰り返す「ブラック企業」について、

これまで労働基準法違反容疑などで書類送検された段階で行っていた企業名の公表を、

行政指導の段階で公表する方針を明らかにしました。

 

公表対象となるのは、複数の都道府県で事業を展開する大企業であり、中小企業は除かれます。

 1.残業代不払いなど労基法違反があり、1カ月当たりの残業、休日労働が100時間を超える

 2.1事業所で10人以上の労働者に違法な長時間労働がある

 3.1年間に3カ所以上の事業所で違法な長時間労働がある

の3条件を満たした場合に公表するとのことです。

 

一方で、労働基準監督官の絶対数が足りていないことや、

日本企業の大多数を占める中小企業を除いていることなどから、

その実効性には疑問の声もあります。

 

ただ、外食企業や美容企業でのトラブルが大きく報道されたように、

企業名の公表によって企業イメージの低下は避けられず、企業努力が促進されることは考えられます。

よって、この措置自体はある程度は効果が出るかもしれません。

 

いずれにせよ、労働基準行政を厳しくしていくという方向性は、明確に示していると思います。

労働の価値(2015/5/10)

先日、インターネット上のニュース(弁護士ドットコムニュース)

”もっと人間らしい仕事がしたい−年収110万円「アニメーター」の実態をどう見るか”という記事を見ました。

 

その中で、アニメーターなどでつくる業界団体「日本アニメーター・演出協会」(JAniCA)が

4月下旬に「アニメーション制作者 実態調査報告書 2015」を発表したとの記載がありました。

報告書によると、回答者全体の年間平均収入(2013年)は332.8万円で、

若手が担当することが多い「動画」は平均111.3万円。

また、1カ月あたりの作業時間は平均262.7時間、うち15.9%が「350時間を超える」とのことです。

 

この内容は、労働者としての年収というだけではなく、業務委託の形態も含めているようです。

働き方は個人の自由なので、働き方自体が問題ではないと思うのですが、

最低賃金や社会保険逃れの偽装請負の可能性も否定できないのかなと想像します。

ただいずれにしても、年収110万円では生活できません。

 

街中でも、最低賃金に満たない条件の求人を見かけることがあります。

働くことは、お金だけではないでしょう。

しかし一方で、生活できない水準の給料は、産業全体の力を低下させるのではないかとも思います。

 

上記報告書を見れば、海外に誇れるアニメという産業も、

それで生活していくことができないのであれば、衰退せざるを得ないのではないかと考えてしまいます。

 

現在、企業の決算発表が続いているようで、業績好調な企業も見受けられます。

国民所得の増加は、国内消費を伸ばし、再び企業業績を押し上げるという好循環を生みます。

労働の価値をお金で評価するのはとても難しいことだと思いますが、

それがより適正に評価されるようになることを願っています。

社会保険の加入勧奨(2015/4/27)

年金事務所より、社会保険の加入勧奨のご案内のあった事業所様に伺ってきました。

これを機にご加入されるということでしたので、そのお手伝いをさせていただくことになりました。

同様のお問い合わせが、同時期に複数ありましたので、

年度が替わったタイミングでの年金事務所の取り組みだったかもしれません。

 

かねてより、年金事務所では、厚生年金保険などの加入の届出を行っていない事業所への取り組みとして、

加入勧奨、加入指導、立入検査・認定による加入手続き等を行っています。

(以下、日本年金機構のHPより抜粋)

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1.加入勧奨

適用調査対象事業所を把握すると、まず、加入勧奨を行い、自主的な加入を促します。

加入勧奨は、民間委託により、文書や電話、事業所訪問により行っています。

 

2.加入指導

加入を勧奨しても自主的に加入しない事業所のうち、

一定規模以上の従業員を使用する未適用事業所を中心に、

年金事務所の職員による重点的な加入指導を実施しています。

 

3.立入検査・認定による加入手続き

重点的な加入指導を行っても加入手続きを行わない事業所に対しては、

年金事務所の職員が立入検査を行い、被保険者の資格の有無の事実を確認し、

必要に応じて、職員の認定による加入手続きを実施しています。

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未適用事業所に対する適用・徴収対策の予算も、ここ数年増加傾向にあります。

厳しい処分になる前に、適正なお手続きをしていただくことをお勧めいたします。

株式会社インテリジェンスによる平均時給分析(2015/4/19)

株式会社インテリジェンスが運営する求人情報サービス「an」では、

求人情報メディアに掲載された求人広告から173職種について、平均時給を分析しています。

 

そのニュースリリースを見ると、2015年3月の全国平均時給は987円で、

前月比8円の減少、前年同月比8円の増加となっています。

また、「an」に寄せられる求人数は前月比+0.1%、前年同月比+67.5%で、

2008年8月調査開始以来の最多を、2カ月連続で更新したとのことです。

 

また、2015年3月の職種別平均時給は、「専門職系」(1,134円)が最も高く、

「事務系」(1,047円)、「運輸職系」(1,044円)、「サービス系」(1,008円)、

「技能・労務系」(967円)、「フード系」(941円)、「販売系」(903円)と続いています。

各職種で月毎の増減は見られるものの、前年同月比ではプラストレンドが継続しているとのことです。

 

実際、都心の街中で見かける飲食店の求人は、だいたい時給1000円前後という印象です。

人手が足りないので閉店します、といった貼り紙を見たこともあります。

 

今や最低賃金の水準では、なかなか人は集まらず、職場の魅力向上や働きやすさの工夫、

業務の効率化による必要労働力の削減、優秀な人材を育成することへの投資など、

企業活動を支えていく労働力の確保は、経営上の大きな課題であると思います。

専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法(2015/4/12)

有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、労働者の雇用の安定を図るため、

労働契約法18条において、いわゆる「無期転換ルール」が定められています。

これは、同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合に、

労働者の申込みにより、無期労働契約に転換するというものです。

 

これに関し、特別措置法がこの4月1日より施行されています。

「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」)

主な内容は以下の通りです。

 

1.特例の対象者

 ①5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く

  高度専門的知識等を有する有期雇用労働者

 ②定年後に有期契約で継続雇用される高齢者

 

2.特例の効果

 特例の対象者について、労働契約法に基づく無期転換申込権発生までの期間(現行5年)を延長し、

 次の期間は、無期転換申込権が発生しないこととする。

 1.①の者: 一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く期間(上限:10年)

 1.②の者: 定年後引き続き雇用されている期間

 

高年齢者雇用安定法で、65歳までの雇用の確保が定められ、

60歳定年後の再雇用において、有期契約を5年継続した場合の対応は当初より議論がありました。

上記②については、それに対応した特別措置法になっています。

 

ただし、この特例の適用を受けるためには、

事業主が、雇用管理措置の計画を作成した上で、都道府県労働局長の認定を受けることが必要です。

ご注意ください。

マタハラに関する厚生労働省の判断公表(2015/4/6)

厚生労働省は、昨年10月のマタニティーハラスメントに関する最高裁判決を受け、

妊娠や出産、復職などから1年以内の降格や契約打ち切りなどの不利益な取扱いは、

原則として男女雇用機会均等法などに違反すると判断することを決め、公表しました。

 

これに関して、事業主にリーフレットを配り、

6月の「男女雇用機会均等月間」でマタハラ対策を中心にキャンペーンを行うなどで周知を図るとのことです。

 

男女雇用機会均等法等では、妊娠・出産等の事由を「理由」とした不利益取扱いを違法としています。

これはつまり事由と不利益取扱いとの間に、因果関係があることを指しています。

今回注意を必要とするのは、妊娠・出産等の事由を「契機」とした不利益取扱いについて、

それも原則としては、因果関係があると解され、法違反になるということです。

 

冒頭の1年以内というのは、1年以内であれば「契機」としていると判断する、ということです。

 

このリーフレットでは、この「契機」の説明に多くの紙面が割かれています。

「契機」=因果関係、ということについて、個別のケースでの判断であればともかく、

原則論として厚生労働省が判断するのは、実務上難しい面もあるようにも思います。

なお、このリーフレットでは例外についても記載されており、これも最高裁の判断を織り込んだものです。

 

マタニティーハラスメントについては、今後も議論が続くでしょう。

企業の皆様には、今後の動向にもご注意いただければと思います。

平成27年度新入社員の特徴(2015/3/29)

公益財団法人日本生産性本部の「職業のあり方研究会」が、

平成27年度の新入社員の特徴をまとめ、プレスリリースしています。

それによると、平成27年度の新入社員のタイプは「消せるボールペン型」だそうです。

以下、プレスリリースより転載します。

 

「消せるボールペン型」

見かけはありきたりなボールペンだが、その機能は大きく異なっている。

見かけだけで判断して、書き直しができる機能(変化に対応できる柔軟性)を活用しなければもったいない。

ただ注意も必要。

不用意に熱を入れる(熱血指導する)と、色(個性)が消えてしまったり、

使い勝手の良さから酷使しすぎると、インクが切れてしまう(離職してしまう)。

(出典:公益財団法人 日本生産性本部)

 

日本生産性本部は、毎年の新入社員のタイプをユニークに表現しています。

「熱を入れると、色が消える」というポイントに、とても感心してしまいました。

もちろん、個々の新入社員の方々が、実際に一律タイプで分けられるわけではないと思いますが。

 

働き方は変わりつつあります。

少子高齢化に伴う労働力減少に対応するため、変わっていく必要があると思います。

 

もうすぐ新年度。

新入社員も、それを受け入れる方々も、良い関係を築けるよう願っています。

2015春闘(2015/3/22)

2015年の春闘は、3/18が集中回答日でした。

報道では、過去最高水準のベアが決まる企業が相次ぐなど、賃上げの動きが報じられています。

来年度の賃金をどう設定するか、中小企業の経営者の方々も検討しているところではないかと思います。


連合のHPでは、第1回回答集計結果についてのプレスリリースが掲載されています。(以下、一部抜粋)


・平均賃金方式では798組合(昨年同期比307組合増)、 

 回答額は7,497円(昨年同期比1,006円増)。

・300人未満の中小労組では、

 回答を引き出した組合は419組合(昨年同期比141組合増)、

 回答額は5,747円(昨年同期比187円増)。

・非正規労働者の賃上げは、時給で19.67円(昨年同時期比7.70円増)、

 月給は4,188円(昨年同時期比1,220円増)。

中小企業においても、今年は昨年よりは明るいムードのようです。

しかし、その背景には人手を確保するため、大手との差を少しでも解消したいという思惑もあり、

少し無理をしてでも賃上げをせざるを得ないという企業もあるようです。


少子高齢化の流れを受けて、人材確保は今後ますます困難になるでしょう。

しかし、やはり賃上げだけでは、大企業と中小企業の差を埋めることは難しく、

働き方全般の工夫が必要になるように思います。

中小企業における月60時間超の時間外労働への割増賃金率の適用猶予廃止(2015/3/16)

2/17に、労働政策審議会は、厚生労働省から諮問されていた

労働基準法等の改正案について審議を行い、答申を行っています。

 

あまり報道で注目されていないように思うのですが、この法律案では、以下の事項にも触れられています。

中小企業における月60時間超の時間外労働への割増賃金率の適用猶予廃止」

 

時間外労働の割増賃金率が25%であるということはご存知の方も多いと思います。

しかし、月60時間を超える時間外労働に関する割増賃金率が

50%であることはご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これは中小企業への適用が猶予されていたためではないかと思います。

その猶予措置が廃止されようとしています。

 

もちろん、まだ法案が通ったわけでもなく、また、その施行期日は、平成31年4月1日となっていて、

すぐにというわけではありませんが、そうはいっても4年後です。

 

今回の労働基準法等の一部を改正する法律案には、上記以外にも重要な改正が入っています。

例えば、その中には、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションとして報道されている

特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設についての答申もあります。

 

その他、長時間労働や働き方についての改正点があり、

経営者、労働者の双方にとって、重要な改正になるように思います。

充分な時間をかけて議論を行っていただきたいと思います。

平成27年度協会けんぽの保険料率(2015/3/8)

平成27年度の協会けんぽの健康保険料率及び介護保険料率が、協会けんぽのHPに掲載されました。

 

東京の一般保険料率は9.97%で前年度と変わりありませんが、

内訳である特定保険料率と基本保険料率が、以下のように変更になっています。

給与明細等に内訳表示を行っている方はご注意ください。

 

・特定保険料率:4.07%→3.83%

・基本保険料率:5.90%→6.14%

 

なお、介護保険料率は1.72%から1.58%に変更になります。

 

これらの保険料率は、例年より1カ月遅れて平成27年4月分(5月納付分)からの適用です。

任意継続被保険者の方は5月分(5月納付分)から変更)

平成27年度厚生労働省予算案等(2015/3/2)

3月に入りました。

国会では、年度内での平成27年度予算成立が厳しさを増しています。

予算成立の遅れが、大きな影響にならないことを願っています。

 

そんな中で、平成27年度の厚生労働省予算案を見てみると、

これまでの政策をさらに進めていくという内容になっていると思います。

 

「女性・若者等の活躍推進」の中では、「待機児童解消加速化プラン」の取り組みが

大きな金額を占めており、6,200億円となっています。

「健康長寿社会の実現」の中では、やはり年金財源が非常に大きなウエイトを占めています。

 

なお、消費税10%への引き上げに合わせて実施することになっていた

年金の受給資格期間の短縮と年金生活者支援給付金の実施時期も、

やはり平成29年4月となっているようです。

 

また、厚生年金保険の適用調査対象事業所の適用促進対策や

国民年金保険料の収納対策も予算が増えています。

 

おそらく、案からの大幅な変更は無いものとは思いますが、

予算審議が政治とカネの問題だけで終始しないことを願います。

待機老人(2015/2/22)

先週、北区の高齢者マンションで、虐待にあたる身体拘束が行われていたという報道がありました。

東京都は、介護サービス事業所を運営する医療法人に業務改善の勧告を行い、

厚労省としても、東京都や北区と連携して実態調査を進め、必要があれば指導を行うとしています。

 

もちろん、虐待はあってはならないことです。

しかしながら、この件は単なる虐待の一案件ということではなく、介護という社会問題の氷山の一角です。

 

2013年度、特別養護老人ホームに入所できていない高齢者は、52万2000人に上るとの調査があります。

この数字は、前回調査の09年度から4年間で約10万人、24%増加したことを示しています。

入所者数の枠は09年時点から7万4800人分広がっているのですが、

それ以上に「待機者」が増えたという状況のようです。

 

今年は介護報酬も介護保険料も引き下げの見通しですが、

誰がどれだけの負担をし、誰がどれだけの給付を受けるのか。

少子高齢化が急速に進展し、老老介護の問題が進行している中で、

介護にかかる社会インフラをどうしていくのかは喫緊の課題であると言えるでしょう。

 

待機児童。

待機老人。

社会的弱者に及ぶしわ寄せが、なるべく少なくなるような仕組みを考えていく必要があると思います。

平成27年度健康保険料率等の変更時期(2015/2/16)

1/31、全国健康保険協会のHPにて、平成27年度の保険料率の変更時期について案内が出ています。

 

平成27年度の健康保険料率及び介護保険料率の変更が、

例年より1か月遅れの4月分(5月納付分)からとなる見通しだそうです。

(任意継続被保険者の方は5月分(5月納付分)から)

なお遅れた理由は、昨年末の衆議院の解散に伴って政府予算案の閣議決定が遅れため、とのことです。

 

ただし、平成27年度の健康保険料率及び介護保険料率の決定が2月下旬頃ということなので、

まだ料率の変更作業自体が必要かどうか分かりません。

 

給与計算の人数が多い事業所様であれば、料率の変更作業も一苦労です。

保険料率が決定してからスケジュールを調整したほうが良いかもしれません。

平成26年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果(2015/2/8)

昨年11月に実施した「過重労働解消キャンペーン」における重点監督について、

厚生労働省がその実施結果を公表しています。(以下、内容を抜粋)

 

1.重点監督の実施事業場:4,561事業場

 このうち、3,811の事業場(83.6%)で労働基準関係法令の違反あり。

2.主な違反内容(1.のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場)

 (1)違法な時間外労働(*)があったもの :2,304事業場(50.5%)

 (2)賃金不払い残業があったもの :955事業場(20.9%)

 (3)過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの :72事業場(1.6%)

  *違法な時間外労働…労働基準法第32 条違反の件数

   (36 協定なく時間外労働を行っているもの、36 協定で定める限度時間を超えて

    時間外労働を行っているものなど違法な時間外労働があったものの件数)

 

なお、2.(1)のうち、時間外労働(法定休日における労働も含む)の実績が最も長い労働者の時間数が

月100時間を超えるものは715事業場(31.0%)でした。

 

この
重点監督では、数多く寄せられた情報の中から、過重労働の問題があることについて、

より深刻・詳細な情報のあった事業場を優先して対象としているため、

労働時間の違反のあった事業場の比率が50.5%と高くなっている、と指摘しています。

(平成25 年の定期監督等における比率は21.7%)

 

ちなみに、定期監督との比較で言えば、そもそも法違反率が83.6%と非常に高くなっており、

(平成25 年の定期監督等における比率は71.1%)

過重労働について疑いのある事業場では、法違反の確率が高い、と言える結果になっています。

平成27年度雇用保険料率(2015/2/1)

前回は労災保険率について記載しましたが、今回は雇用保険料率について。

 

厚生労働省の労働政策審議会は1/23に、

平成27年度の雇用保険料率を定める告示案要綱を妥当と認め、厚生労働大臣に答申しました。 

平成27年4月1日から平成28年3月31日までの雇用保険料率は、平成26年度と変わらず以下の通りです。
 

一般の事業          1.35% (労働者負担:0.5%/事業主負担0.85%)

農林水産清酒製造の事業 1.55% (労働者負担:0.6%/事業主負担0.95%)

建設の事業          1.65% (労働者負担:0.6%/事業主負担1.05%)

 

事務の方々は、年末調整から給与支払報告書までの作業が一段落し、一息つかれていることでしょう。

これからは、確定申告の時期になりますので、申告をされる方々が慌ただしくなります。

もちろん3月決算の法人様については決算業務も控えており、

そして前回や今回のブログのように、来年度の情報も出始めています。

 

年末、年明け、年度末、年度始めとこの時期はなかなか落ち着かないなあと感じます。

まだまだ寒くて乾燥した日が続きそうですので、体調には十分ご注意ください。

労災保険率の改定等(2015/1/26)

昨年の12/15、平成27年4月からの労災保険率の改定や労務比率の改定等を盛り込んだ

労働保険料徴収法施行規則の一部を改正する省令案について、労働政策審議会が妥当との答申をしました。

 

労災保険率は、厚生労働大臣が業種ごとに定めており、

それぞれの業種の過去3年間の災害発生状況などを考慮し、原則3年ごとに改定しています。

 

改正政令案のポイントは以下の通りです。(※詳細については、厚生労働省のHPをご参照ください。

1.労災保険率等の改定

 ・業種ごとの労災保険率を改定し、全業種平均で0.1/1000引下げ(4.8/1000→4.7/1000)

  (全業種中、引下げ23業種、引上げ8業種)

 ・一人親方などの特別加入に係る第2種特別加入保険料率を改定

  (全18区分中、引下げ8区分、引上げ5区分)

 ・海外派遣者の特別加入に係る第3種特別加入保険料率を引下げ(4/1000→3/1000)

2.労務比率の改定

 ・請負による建設の事業に係る労務比率(請負金額に対する賃金総額の割合)を改定

3.請負金額の取扱いの改正及び労務比率の暫定措置の廃止

 ・請負金額には、消費税額を含まないものとする

 ・賃金総額の算定に当たり、請負金額に105/108を乗じている暫定的な措置を廃止

 

この料率改定ににより、平成元年度以降の平均では最も低い水準になり、

厚生労働省によると、年間278億円の企業負担が軽減されるとのことです。

 

企業負担が軽減されることは企業経営にとってもプラスになりますし、

労災保険率が減少するということは、労災の保険給付額が減少していると考えられます。

つまり、より安全で安心な労働環境への改善がなされていると言えるかもしれません。

労使双方に良い成果が出ていると考えると、素晴らしいことだと思います。

第122回労働政策審議会分科会(2015/1/18)

岡田克也さんが新しい民主党代表に選出されました。

自民党に対抗できる野党ができてほしいなと願っています。

 

さて、1/16に厚生労働省は労働政策審議会分科会を開きました。

厚生労働省のホームページには、当該分科会の資料が掲載されています。

その資料の大枠の目次をあげてみると、以下のようになります。

 

今後の労働時間法制等の在り方について(報告書骨子案)

1.働き過ぎ防止のための法制度の整備等

2.フレックスタイム制の見直し

3.裁量労働制の見直し

4.特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル労働制)の創設

5.その他

6.制度改正以外の事項

 

報道では、働いた時間ではなく成果で報酬を決める新たな制度である、4番の制度が注目されていました。

制度対象者は、年収1075万円以上の専門職で、金融商品のディーラーや研究開発職などを念頭に、

法案成立後、改めて審議会で検討の上、省令で適切に規定するとされています。

 

個人的には、上記の新たな労働時間制度については、

現実にはあまり該当者は多くなく、すぐに大きな影響があることはないように感じます。

もちろん、今後の動向に注意が必要であることは言うまでもありません。

 

当資料の全体としては、「高度プロフェッショナル労働制」も含めて、

長時間労働対策としての労働時間管理の必要性は強調されているように思います。

ただ具体性や実効性という意味では、難しい面もありそうです。

 

審議会でさらに議論を詰めた上で、次期通常国会に労働基準法改正案が提出されるとのこと。

新たな民主党がどのような議論を展開するか、注目したいと思います。

2015年の給料見通し(2015/1/13)

日本生命保険が実施した、給料が増える見通しに関するアンケートというのがあります。

 

それによると、2015年と2014年の給料について、以下のような結果となっています。

「増える」 15.6%

「変わらない」 61.7%

「減る」 22.7%

 

昨年末の政労使会議での合意文書では、次の春闘での賃上げについて、

「政府の環境整備の取り組みの下、経済界は賃金の引き上げに向けた最大限の努力を図る」としています。

また、連合の新年会に初めて経団連の会長が出席したという報道も見ました。

そのような動きがある半面で、一般的にはなかなか期待感が上がらないようです。

 

ただ、やはり国民の所得が上がらなければ、根本的に景気は良くならないと思います。

そして景気が良くならなければ、各企業も厳しい状況が続いていきます。

さらには日本の財政も改善されません。

 

中小企業では、春闘の結果を参考にするところもあると思います。

昨年に引き続き、今年の春闘でも賃上げが実現されるのか。

また、それがどの程度まで浸透するのか。

注目したいと思います。

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