小規模派遣元事業主の暫定的な配慮措置(2015/10/4)

厚生労働省のHPにて、今回の労働者派遣法改正についてのパンフレットや政省令等がアップされました。

また、新しい業務取扱要領や派遣申請・届出様式、事業報告書等もアップされています。

 

今回は、許可基準の財産的基礎に関する判断のうち、

小規模派遣元事業主の暫定的な配慮措置について記載します。

大まかに書きますので、正確には業務取扱要領等をご参照ください。

 

まず、原則の基準は以下の通りです。

基準資産額(*)が2000万円以上×事業所数

2.基準資産額(*)が負債総額の1/7以上

3.現金預金額が1500万円以上×事業所数

*基準資産額…資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額のこと。以下同じ。

 

そして、小規模派遣元事業主の暫定的な配慮措置は以下の通りです。

①1つの事業所のみを有し、常時雇用している派遣労働者が10 人以下である中小企業事業主

 (当分の間の措置)

 1.基準資産額が1000万円以上

 2.基準資産額が負債総額の1/7以上

 3.現金預金額が800万円以上

②1つの事業所のみを有し、常時雇用している派遣労働者が5 人以下である中小企業事業主

 (3年間の暫定措置)

 1.基準資産額が500万円以上

 2.基準資産額が負債総額の1/7以上

 3.現金預金額が400万円以上

 

これまで特定派遣を行ってきた方々は、今後3年間(平成30年9月29日まで)は、

許可を得ることなく、引き続き改正前の特定労働者派遣事業に相当する事業を営むことができます。

しかし、その後も派遣事業を継続するためには、許可を取得しなければなりません。

この財産的基礎に関する判断基準は、事業継続のハードルの一つになりそうです。

厚生年金保険料の変更(2015/9/27)

今年も厚生年金保険料の金額を変更するタイミングとなってきました。

給与計算ご担当者の方々は、ご留意ください。

 

1つは、厚生年金保険の保険料率の変更です。

平成27年9月分(10月納付分)からは、17.828%(折半8.914%)となります。(一般被保険者)

現在、厚生年金の保険料率には「保険料水準固定方式」が導入されています。

これは、将来の保険料水準を固定したうえで、給付水準を調整する仕組みで、

平成29年9月分として18.3%で固定されるまで、毎年段階的に引き上げられます。

 

もう1つは、7月上旬に提出した算定基礎届による標準報酬の変更(定時決定)です。

この定時決定も9月分(10月納付分)から適用になります。

もし、まだお手元に決定通知が来ていないようであれば、年金事務所に確認したほうが良いと思います。

 

余談ですが、健康保険の標準報酬については、平成28年4月1日より、

現在の47等級の上に、127万円、133万円、139万円の3等級を追加することになっています。

これは、この5月に成立した医療保険制度改革法案の一部です

上記の標準報酬の上限引き上げ以外にも、国民健康保険の財政を支える仕組みが盛り込まれています。

消費税アップも控えていますが、社会保険の財政は厳しい状態が続いています。

マイナンバー通知カードの送付先(2015/9/21)

マイナンバーの通知カードの発送時期が近づいてきました。

 

皆さまのマイナンバーは、10月以降に送付される「通知カード」により通知されます。

それは原則として、今年の10/5時点の皆さまの住民票の住所地に簡易書留で郵送されます。

そのため、現在の生活の拠点が住民票の住所地でない方は、

できれば、住民票を異動して確実に「通知カード」を受け取れるようにしておいたほうが良いでしょう。

 

しかし、下記の理由等によって、やむを得ず住民票の住所地で「通知カード」を受け取れない場合は、

申請手続きにより、住民票の所在地と異なる場所(居所)でも受け取ることができます。

 

・東日本大震災による被災者で住所地以外の居所に避難されている方

・DV、ストーカー行為等、児童虐待等の被害者で、住所地以外の居所に移動されている方

・一人暮らしで、長期間、医療機関・施設に入院・入所されている方

 

申請書は、市区町村や総務省のHPで入手することができ、申請先は、住民票のある市区町村です。

期間は今週末の9/25(金)までで、持参又は郵送(9/25必着)となっています。

以下に、総務省のリーフレットを添付しますので、ご参照ください。

 

総務省リーフレット

 

まずは、ご自身のマイナンバーをしっかりと受け取ることが大切です。

すでにマイナンバー制度に便乗した不正が発生しているようです。

行政機関等からは、通知前に手続きを求めることは無いとしていますので、十分にご注意ください。

平成27年改正労働者派遣法の成立(2015/9/13)

9/11、衆院本会議にて、改正労働者派遣法が、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立しました。

新法の施行日はH27/9/30です。

 

主な改正内容を記載します。

●労働者派遣事業を許可制に一本化

 これまで、一般労働者派遣事業(許可制)と特定労働者派遣事業(届出制)に区分されていましたが、

 この区分が廃止され、全ての労働者派遣事業は許可制になります。

 (既存の事業者には、経過措置があります。)

期間制限の変更

 これまで、業務単位で行ってきた派遣期間の期間制限が見直され、

 派遣先事業所単位の期間制限及び派遣労働者個人単位の期間制限が設けられます。

 

その他、派遣労働者の雇用安定措置やキャリアアップ措置、

派遣先労働者との均衡待遇の推進なども定められています。

 

また、10/1から施行される労働契約申込みみなし制度ですが、

改正法の施行日(9/30)時点ですでに行われている派遣については、

労働契約申込みみなし制度の対象とはならないことになりました。

 

労働者派遣法は、今国会において、安全保障関連法案と並んで重要なテーマとされていましたが、

あまり注目されず、十分な審議が行われないまま成立してしまったように感じます。

 

9/11成立し、9/30施行なので、かなり短い期間で準備が必要にもかかわらず、

新たな許可基準や、小規模事業主に対する許可申請の配慮措置はこれからとなっています。

また、この法改正によって、派遣業界に大きな影響があると思われます。

まずは今回の法改正が、しっかりと業界全体に周知されることが重要であると考えます。

マタハラ実名公表と女性活躍推進法の成立(2015/9/6)

9/4、厚生労働省は、女性職員の妊娠を理由に職員を解雇し、さらに国の是正勧告に従わなかったとして、

男女雇用機会均等法に基づき、「牛久皮膚科医院」(安良岡勇院長)の実名を公表しました。

同省がマタニティーハラスメント(マタハラ)をした事業主の実名を公表するのは初めてとのことです。

 

院長は、女性職員が妊娠を報告したところ、約2週間後に「明日から来なくていい。妊婦はいらない」と告げ、

女性職員は「妊娠したばかりで、まだ働きたい」と訴えましたが、院長は認めませんでした。

そのため、女性職員は茨城労働局に相談し、同労働局は口頭や文書で3回にわたって是正勧告しましたが、

院長は解雇を撤回せず、「妊婦はいらない」「均等法を守るつもりはない」などと応じなかったということです。

 

一方、8/28には参院本会議にて、女性活躍推進法が成立しました。

同法は、女性が職業生活において、その希望に応じて十分に能力を発揮し、

活躍できる環境を整備することを目的としています。

 

これにより、2016年4月1日までに、労働者301人以上の大企業は、次のような準備が必要になります。

1.自社の女性の活躍状況の把握・課題分析

2.行動計画の策定・届出

3.情報公表などを行う

 

女性の働く環境は、法整備の面では徐々に進んでいるとはいえ、

実務の中ではまだまだ難しい課題が多くあるように思います。

産前産後休業や育児休業の手続きをしている中でも、様々なご意見を伺うことがあります。

 

しかし、少子高齢化に伴う労働力人口の減少は、不可避の課題です。

マタハラ問題だけでなく、また法律的な面だけでなく、

現実社会の中で女性が働いていける社会作りが必要だろうと考えます。

平成27年度地域別最低賃金の改定額答申(2015/8/30)

全ての地方最低賃金審議会は、平成27 年度の地域別最低賃金の改定額を答申しました。

これによると、全国加重平均額は798円(現在780円)となっています。

 

全国加重平均額で18円という引上げは、

最低賃金額が時給のみで示されるようになった平成14年度以降、最大の引上げ(昨年度は16円)です。


例えば、東京都の答申最低賃金時間額は「907円」であり、900円を超えました。

現在の最低賃金時間額は「888円」なので、3年連続で19円の引き上げになりそうです。


なお、主な東京近県では以下のような答申最低賃金時間額となっています。

・埼玉  820円(平成26年度 802円)

・千葉  817円(平成26年度 798円)

・神奈川 905円(平成26年度 887円)
 

この答申された改定額は、各都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、

都道府県労働局長の決定により、10月1日から10月中旬までに順次発効される予定です。

東京、埼玉、千葉では平成27年10月1日から、神奈川では平成27年10月17日からの発行予定です。

少し先ではありますが、給料計算実務などにおいては、ご留意ください。

年金分野でのマイナンバー連結開始の延期検討(2015/8/23)

政府及び与党が、年金分野でのマイナンバーの連結開始を延期する方向で調整に入ったとのことです。

 

当初予定では2016年1月から実施の予定でしたが、日本年金機構の情報流出問題を受け、

日本年金機構の組織改革の進捗状況を見ながら時期を判断するようです。

延期期間は半年から1年で検討されるとのことです。

 

政府は今国会にマイナンバーを金融機関の預金口座に適用するマイナンバー法改正案を提出しています。

しかし、日本年金機構における120万件もの年金情報の流出が発覚しました。

民主党は政府や日本年金機構に対し、再発防止の徹底を図るよう要求し、

マイナンバー法改正案の修正案を提示しています。

これに対し与党側は、大筋で受け入れる方向で調整しているとのことです。

 

日本年金機構の情報流出は、もちろん徹底した対策を求められるべきです。

しかしそれだけではなく、マイナンバーに関する社会的な認知度がかなり低いことを懸念しています。

マイナンバー制度はとても便利である一方で、高いリスクを負うことになると考えています。

 

不安があるのは、日本年金機構だけではありません。

「マイナンバーなんて、うまくいかないでしょ。」とか、

「マインナンバーって、よく分からない。」といったお話しを聞く中で、

現状で自分のマイナンバーを社会に出したら、きっとどこからか漏れるだろうと想像しています。

 

年金情報の流出問題は、ある意味、マイナンバーの検討をするチャンスなのかもしれません。

今後、集中審議も予定されているはずなので、良い議論が展開されることを期待しています。

地方の雇用状況(2015/08/16)

先週は夏季休業を頂きました。

ありがとうございました。

 

休業中に、法事で地方に行ってきました。

街中を歩いていて、何気なく店頭に貼ってある求人票が気になりました。

 

募集の時給が東京より低い。

東京の最低賃金が日本で一番高いので、東京より低いこと自体は当然と言えば当然なのですが、

求人票を見た瞬間の違和感に、地域差を実感しました。

 

たまたまハローワークも近くにあったので、寄ってみました。

週末だったので開庁はしていませんでしたが、求人のチラシを見ることができました。

求人全体の件数は分かりませんでしたが、ここでも同様に賃金差を感じました。

 

しかしながら、実はそれでも最低賃金より50円〜100円程度高い設定でした。

良い条件のものがチラシに掲載されているだけという可能性もありますが、

東京と同様に、最低賃金では人が集まらないといった状況があるのかもしれません。

地元の方との話では、人口減少、特に子供の減少や仕事が無いといったことが聞かれました。

 

個人的に、この地方には愛着があります。

日本は、東京だけで成り立っている訳ではありません。

地方の経済力を上げることも、日本にとって重要なことであると感じます。

地方創生に関する政策にも期待したいところです。

民間企業のマイナンバー対応状況(2015/8/9)

士業の間では、マイナンバーの話題が出る機会が多くなってきました。

弊所としても、社労士会のセミナーや勉強会の開催などによって、情報収集を進めています。

 

しかしながら、一般的にはまだ認知されているとは言えない状況のようです。

例えば、内閣官房のマイナンバーのHPでは、

「民間企業のマイナンバー対応状況に関する調査結果」が公表されています。

 

その中で、株式会社スターティアが行った「マイナンバー対応状況に関する調査結果」においては、

中堅・中小企業の情報システム担当者で

マイナンバー制度への対応の必要があることを知らない人は2割に上り、

実際に対応を進めている企業は6%にとどまっている実態が明らかになっています。

(なお、同調査は、20歳から59歳までの経営者・役員・会社員54,058人(有効回答:7,293人)を対象に、

 6/1〜6/3にかけて実施したものです。)

 

もちろん、情報システム担当者は一構成員でしかなく、より組織的な対応が重要です。

営業的な側面のあるセミナー等もありますので、情報システムだけでなく、

マイナンバー制度を正しくご理解いただき、適切な対応を心がけていただければと思います。

 

一方で、行政からの情報提供や告知も、いまだ十分ではないと考えています。

前出の内閣官房のマイナンバーのHPも、随時更新されている状況であり、

これからも新しい情報が追加されてくるでしょう。

今後も、鋭意、情報収集及び情報提供に努めていきたいと思います。

学生の採用選考(2015/8/2)

2016年の春に卒業する学生の採用選考が、8/1から解禁されます。

政府の要請で、経団連は大学生の採用選考活動を今年から例年より4カ月遅くしていました。

 

すでに採用選考活動を行い内定を出した中小企業は、大手企業に内定者を奪われるかもしれないと考え、

「オーガストブルー(8月の憂鬱(ゆううつ))」とも言われているそうです。

 

逆に、大手より早く内定や内々定を出した中小企業などが、

大手を目指して就活を続けようとする学生に就活を終わらせるよう強要する

「就活終われハラスメント(オワハラ)」も報道されました。

 

労働基準法第2条第1項には、

「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。」とあります。

いわゆる労使対等の原則です。

 

労働条件は、労働力の需要と供給の影響を受けるのは当然ですが、

採用する側にとっても採用される側にとっても、より良い出会いがあるよう、

誠実な採用選考活動が行われることを祈っています。

経済財政諮問会議での最低賃金について(2015/7/25)

7/23、第14回経済財政諮問会議が開催されました。

会議では、「最低賃金」についても議論されました。

 

首相官邸のHPに、安倍総理の発言が掲載されていましたので、

そのうち、最低賃金についての部分を抜粋して以下に記載します。

 

「経済の好循環を2巡目、3巡目と回していくためにも、賃金の上昇は重要であり、

 今年の春闘でも17年ぶりの引上げ幅となりました。

 現在、最低賃金については、審議会で審議されているところであります。

 政府として、最低賃金の大幅な引上げが可能となるよう、

 中小・小規模事業者の方々の環境整備やサービス産業の生産性向上に全力を挙げることといたします。

 関係大臣には、最低賃金引上げに向けて、しっかり対応していただきたいと思います。」

 

どうやら、今年も最低賃金は上がりそうです。

 

ちなみに、労働政策研究・研修機構のHPで、以下のような記事を見つけました。

 

「米ニューヨーク州の諮問委員会は22日、ファストフード業界で働く従業員の最低賃金について、

 現在の約7割増となる時給15ドル(約1,860円)に引き上げることを決めた。近く正式決定の見込み。

 米国では最近、ロサンゼルスやサンフランシスコなどの都市の最低時給も、

 15ドルへの引き上げが決定したばかり。

 米経済の中心地ニューヨーク市を抱える同州の決定を受けて、賃上げの動きが全米に広がりそうだ。」

 

もちろん、安易に比較してはいけませんが、

上記の安倍総理の発言を読んだ直後だっだけに、少し気になる記事でした。

ゆう活(2015/7/20)

「ゆう活」のCMを目にすることが多くなりました。

 

「ゆう活」とは、日照時間が長い夏に、朝早い時間に仕事を始め、早めに仕事を終えることで、

まだ明るい夕方の時間を有効に活用し、生活を豊かにしようという取組です。

政府広報オンラインに、マイナンバーに次いで目立つ配置で掲載されています。

かつて、サマータイム制が議論されたことを思い出しました。

 

もちろんこれには様々な批判もあり、すぐに実現できることではないと思います。

特に、この働き方の変化はボトムアップではなかなか達成できないものでしょう。

 

相手のある業務であれば、自分だけ働く時間を変えることは困難です。

仮に早く仕事を終えたとしても、次の仕事が待っているだけかもしれません。

また自分だけ仕事が終わったからといって、自分だけ帰るのも気が引けます。

さらには、早い時間帯にずらせない理由がある人も、もちろんいるでしょう。

 

ただ、この「ゆう活」という言葉でのプロモーションは、

長時間労働、ワークライフバランス、同一労働同一賃金などの労働問題の一端と思われます。

誰かが旗振り役にならなければいけないと考えたときには、それはやはり政府しかないでしょう。

 

中小企業では、すぐの実現は難しいでしょうが、働き方を考える一つのきっかけになればと思います。

今後、国内での労働力人口は確実に減少していきます。

「ゆう活」でなくても、今後の経営を考えていくうえで、働き方の変化は必須になるでしょう。

7/10が過ぎました(2015/7/12)

労働保険料の年度更新、社会保険の算定基礎届の期限である7/10が過ぎました。

これらの処理のため、後回しにしている作業もあり、この後もまだ慌ただしい日々が少し続きそうです。

 

さて、今年も行政協力として、年度更新の受理業務を行ってきました。

昨年よりも規模の大きい場所で、またより期限に近い日程だったので、緊張感もありましたが、

なんとかお役に立てたのではないかと思います。


今年は一日で約70件の受理を行いました。

個人としては、予想通り昨年よりも多い処理数となりました。

おそらくその場全体では、一日で1,000件程度になったのではないかと推測します。


開場前からいらっしゃっている方もいましたが、

午前中は、ほぼお待たせすることはありませんでした。

しかし午後になるとやはり混雑し始め、15時位には待機用の椅子がほぼ満席になる状況でした。


お待たせしないように、という気持ちもあり、

また一方では、丁寧な説明を心がけたい、という気持ちもあり。

それが両立できるよう、より説明する能力を上げていきたいと感じたところです。

それはきっと通常業務でも生きてくるだろうと思います。


まだ提出がお済みになっていない方々もいらっしゃるかもしれません。

お早目のご提出をお勧めいたします。

2014年「労使コミュニケーション調査」結果(2015/7/5)

厚生労働省は、平成26 年「労使コミュニケーション調査」の結果を公表しました。

この調査は、労使間の意思の疎通を図るためにとられている方法、その運用状況等、

事業所側の意識、労働者の意識等の実態を明らかにすることを目的に、5年ごとに行われています。

 

この調査によると、労使関係が「安定的」と認識している事業所は86.9%である一方、

労使コミュニケーションが「良好」と認識している労働者は53.5%となっています。

 

この、労使コミュニケーションについて、良好度という指標が掲載されており、

それを規模別にみると、以下のようになっていました。

 5000人以上 47.4

 1000〜4999人 31.5

 300 〜 999人 46.2

 100 〜 299人 40.2

 50  〜  99人 40.6

 30  〜  49人 27.6

 ※当調査の対象は、常用労働者30 人以上を雇用する民営事業所及びその常用労働者です。

 

また、これを役職別でみると、以下のようになっていました。

 課長クラス以上 69.7

 係長クラス 46.4

 役職なし 34.6

 

規模が小さい方が風通しが良いように思いますが、

必ずしもそれが良好な労使コミュニケーションにつながるのではないのかもしれません。

また役職によって感じ方もだいぶ違いがあるようです。

 

労働生産性を上げるためにも、労使の良好なコミュニケーションは欠かせないものと考えます。

難しいことではありますが、避けては通れない課題だと思います。

月額算定基礎届総括表の会社法人等番号(2015/6/28)

今年の社会保険の算定基礎届総括表には、会社法人等番号などを記載する欄があります。

会社法人等番号とは、登記簿の上部に記載してある「会社法人等番号」を指します。

 

総括表の当該欄が印字された状態で送付されてきた場合には、その適否を確認し、

誤りがあれば当該欄右側の「訂正後」の欄に正しい会社法人等番号を記載します。

また、当該欄が印字されていない状態で送付されてきた場合も同様です。

これらの場合、その確認のため、登記簿のコピーの添付が必要になります。

 

この処理は、平成28年10月から、厚生年金保険・健康保険の被保険者について、

以下の5つの条件を満たす短時間労働者も適用対象となることから行われるものです。

 1.501人以上の企業に勤めていること

 2.週の所定労働時間が20時間以上あること

 3.賃金の月額が8.8万円(年収106万円)以上であること

 4.勤務期間が1年以上見込まれること

 5.学生でないこと

 

このうち、「501人以上の企業に勤めていること」の適用単位が、

法人事業所であれば法人登記(会社法人等番号)単位となるため、

今回の総括表で会社法人等番号を記載することで、その確認をするということです。

なお、個人事業の場合は、上記適用単位は適用事業所単位です。

 

気づきにくいところだと思いますので、ご留意ください。

日本年金機構の不正アクセス事案に伴う広報用チラシ(2015/6/24)

日本年金機構の不正アクセス事案に伴う、厚生労働省の広報用チラシを掲載します。

年金情報流出を口実にした犯罪にご注意ください。

 

厚生労働省広報用チラシ

定時決定時調査の案内(2015/6/21)

各事業所様には、そろそろ社会保険の算定基礎届の書類が届いていることと思います。

その書類の中に、「定時決定(算定)時調査のご案内」という用紙が入っていることがあります。

 

この定時決定時調査は、厚生年金保険等の適用の適正化を図るため、

年金事務所が適用事業所に対し行う調査で、全事業所について4年で一巡する計画になっています。

今年はその4年目に当たります。

概ね、これまで調査に該当しなかった事業所にご案内が届いているのではないかと思います。

 

また、4年目である今年で調査事業が終了するわけではなく、また来年から新たな4年が始まります。

つまり、調査を受けたからもう大丈夫ということではなく、再度調査を受ける日が来るということです。

もし指摘を受ける事項があれば、改善しておいて頂ければと思います。

 

なお、持参する調査資料について、

昨年までは賃金台帳や出勤簿は前年7月から当年6月までの12か月分となっていましたが、

今年は当年1月から当年6月までとなっています。

持参する資料もかさばったり重かったりで大変でしたが、多少軽減されることになりました。

ただし、より調査が必要な場合は、昨年分も要求されるようです。

 

定時決定時調査の案内には、日時が指定されていますが、調整可能です。

年金事務所等にもよるかもしれませんが、比較的午前中が空いているように感じています。

昨年、ある年金事務所では30人程度の待ちになることも経験しました。

時間が無駄にならないよう、ご注意ください。

個別労働紛争解決制度施行状況(2015/6/14)

厚生労働省より「平成26年度個別労働紛争解決制度施行状況」が公表されています。


それによると、平成26年度の総合労働相談件数は103万3,047件(前年度比1.6%減)となっています。

総合労働相談件数は、平成21年度の114万1,006件を境に減少傾向にあります。


相談内容の内訳については、以下のような順位となっています。

 1.「いじめ・嫌がらせ」…62,191件(21.4%)

 2.「解雇」…38,966件(13.4%)

 3.「自己都合退職」…34,626件(11.9%)

 

「いじめ・嫌がらせ」と「自己都合退職」の件数が増加しています。

「自己都合退職」は「解雇」を上回りそうな勢いです。

いじめや嫌がらせによって、自己都合退職せざるを得ない、という状況があるのかもしれません。

ハラスメントに関する司法の判断は、より注目しておく必要がありそうです。

 

また、東京近県での総合労働相談件数を見てみると、以下のようになっています。

 ・東京  118,356件

 ・埼玉   51,799件

 ・神奈川  51,081件

 ・千葉   42,438件

東京だけで全国の11%を超え、上記4都県で全国の25%超を占めています。

さて、余談になりますが。

そろそろ年金事務所から定時決定時調査のご案内が届き始めているようです。

平時の処理が適切であれば、問題の無い調査です。

また、処理に不安がある場合には、この調査はそれを確認する良い機会になると思います。

ポジティブにご対応いただければと思います。

年金情報漏えい問題(2015/6/7)

すでに大変な騒ぎになっている年金情報漏えい問題。

6/1夕方、日本年金機構の水島理事長は厚生労働省で記者会見し、情報漏えいについて発表しました。

これを皮切りに、その対応や原因について様々な報道がされています。

 

まだ騒ぎの渦中であり、情報も真偽が入り混じっていたり、

捜査の関係で公表されていないこともあるようですので、軽率な判断はできないと思いますが、

ともかくは被害が出ないことを祈っています。

 

また、積極的に情報発信をすべき日本年金機構では、

6/6の15:40からHPに脆弱性が発見されたとのことで、HPの閲覧が停止されています。

残念ながら当ブログを書いている今も、まだ復旧されていないようです。

これは、情報漏えい問題とは別の原因とのことですが、

サイバーセキュリティという根っこの部分では、組織的な意識の低さを指摘できるかもしれません。

 

所得の稼得能力を喪失した際の年金制度は非常に重要な社会制度であり、

日本の年金制度は、個々に課題はありつつも、全体的には素晴らしい制度だと思っています。

しかし、その運営組織が頼りなければ、制度がいかに優れていても実効性をもちません。

 

今後はマイナンバーも控えています。

徹底した原因究明とそれに対する対策の実施、

そして通常業務に支障をきたさないようにしていただきたいところです。

また、弊所での情報管理についても、改めて考えるきっかけにしたいと思います。

年金減額についての提訴(2015/5/31)

全国の年金受給者1549人が、5/29、国の年金減額決定の取り消しを求め、13地裁に一斉提訴しました。

この動きは、今年2月の鳥取の提訴から全国に拡大し、数千人規模の集団訴訟となる見通しだそうです。

 

年金額は、物価変動などを踏まえて毎年度見直されています。

しかし、物価が下落しても特例で減額しない時期があり、本来より2.5%高い水準で支給されていました。

この特例解消のため、国は平成25年10月以降、順次支給水準を引き下げてきました。

 

原告側は、この年金を引き下げる年金関連法が、

「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する憲法25条(生存権)などに違反していると主張し、

減額の決定を取り消すよう国に求めています。

 

現在、平成27年4月分からの老齢基礎年金の年金額は、満額で780,100円です。

この水準が適切なのかどうか、司法の場で議論が深まるのは良いことではないでしょうか。

年金は、負担と給付のバランスや世代間格差の問題等、難しい課題があります。

現在は保険料の支払者であり、将来の年金受給者である世代にも、重要な裁判になると思います。

 

併せて、年金保険料の不払いや未適事業所の問題などを少しでも解消し、

無年金者や低年金者の減少に努めることも大切なことだと考えます。

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