参議院議員選挙とGPIFの運用損失(2016/7/3)

平成28年7月10日に、第24回参議院議員選挙が行われます。

争点は様々あると思いますが、関心の高い争点の一つに、社会保障があります。

社会保障と一口に言っても、これまた様々ですが、例えば年金です。

 

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の

2015年度の運用損失が5兆円台前半となったことが報道されました。

ただし、年度を通して赤字となるのは5年ぶりとのことで、

長期的な運用を考えると、一時的な損失で何かを判断するものではないのかもしれません。

 

しかしながら、やはり考えなければいけないのは、その運用方法です。

安倍政権の元、2014年に資産の運用方法を見直し、少しリスクの高い株式投資の比率を引き上げました。

リスクをとれば、リターンが大きくなる可能性もある一方で、上記のような損失になる可能性もある。

これをどのように考えるか。

 

イギリスのEU離脱の国民投票は、大きな衝撃を与えています。

その中で、世代間の意見の食い違いというのも、非常に注目されました。

 

翻って日本では、今回の参議院議員選挙から、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられています。

年金の問題は、考えるべきスパンが長く、世代間の意見が大きく異なる可能性があります。

消費税増税も延期になり、今後の社会保障をどのように支えていくべきか。

若い世代の方々も、ぜひ選挙でその意思表示をすべきと考えます。

 

惜しむらくは、社会保障はあまり学校教育で取り上げられることがないため、

多くの方がその仕組みを知らず、関心が高くないということです。

まずは知ることが大事なのではないかと思います。

弊所では業務を通じて、そういった部分でも社会貢献できればと考えています。

算定基礎届総括表の法人番号(2016/6/27)

前回「算定基礎届と定時決定時調査(2016/6/19)のブログにて、以下の記載をしました。

 

>この「法人番号」欄は登記記録の一部である「会社法人等番号」のことです。

>マイナンバー制度により法人に指定された法人番号とは異なるので、ご注意ください。

 

申し訳ありません。これは誤った記載でした。

年金事務所に確認したところ、昨年までは登記記録の一部である

「会社法人等番号」を記載することとなっていましたが、

本年の総括表からは、マイナンバー制度の「法人番号」を記載することになったそうです。

 

当該欄が1桁増えているとのご指摘を頂き、実際の総括表を確認したところ、

タイトル欄も昨年の「会社法人等番号」から、今年は「法人番号」に変更されており、

すでに印刷されて届いている会社様では、13桁の法人番号が印刷されていました。

また訂正後の欄も13桁が記入できるようになっています。

 

お詫びと訂正をさせていただきます。

 

なお、法人番号については、国税庁の法人番号公表サイトで検索することができます。

このサイトでは、法人番号の指定を受けた者の、以下の基本3情報が公表されています。

・商号又は名称

・本店又は主たる事務所の所在地

・法人番号

ご活用ください。

算定基礎届と定時決定時調査(2016/6/19)

各事業所様には、社会保険の算定基礎届の書類が届く頃かと思います。

弊所でも、すでに届いたというご連絡をいただいています。

 

今年度の社会保険の大きな変化と言えば、10月1日からの短時間労働者に対する適用拡大です。

これについては、8月下旬から事務手続きのご案内が始まるようです。

昨年から総括表に「法人番号」等を記入する項目が増えているのですが、

これは上記の短時間労働者に対する適用拡大の対象企業を把握するためのものです。

 

この「法人番号」欄は登記記録の一部である「会社法人等番号」のことです。

マイナンバー制度により法人に指定された法人番号とは異なるので、ご注意ください。

(2016/6/27訂正 算定基礎届総括表の法人番号(2016/6/27)をご参照ください。 )

ちなみに、異なるといっても、マイナンバー制度の法人番号(13桁)は

登記記録の「会社法人等番号」(12桁)の前に1桁の数字を足したものなのですが。

 

そして、今年も定時決定(算定)時調査が行われます。

この定時決定時調査は、厚生年金保険等の適用の適正化を図るため、

年金事務所が適用事業所に対し行う調査で、全事業所について4年で一巡する計画になっています。

 

昨年は一巡の最後の年で、調整の意味もあってか、対象事業所数が少なかったようなのですが、

今年は対象事業所数が多くなっています。

例えば、千代田年金事務所の方のお話では、昨年は約2,800件であったところ、

今年は約5,300件を予定しているとのことでした。

 

適用勧奨も年々厳しくなっている中、遡っての適用となると調整が難しいことも出てきます。

平素からの適正手続きをお心掛けください。

労働保険年度更新事務説明会&社労士なんでも個別相談会(2016/6/12)

東京都社会保険労務士会において、年度更新の事務説明会が開催されます。

説明会は2部制で、第1部で年度更新の説明が行われ、第2部では個別相談会が予定されています。

参加費が無料となっていますので、ご活用ください。

 

【開催日時】 平成28年6月13日(月)13:30〜16:30(開場13:00)

【場  所】 東京都社会保険労務士会 研修室()http://www.tokyosr.jp/entrance/access/

【定  員】 150名(※定員超過の場合は参加をお断りさせて頂くことがございます。)

【参 加 費】 無料
 

詳細及び申込方法については、東京都社会保険労務士会のHPをご参照ください。

消費税増税再延期の年金制度への影響(2016/6/5)

6月1日、安倍首相が2年半の消費税増税の再延期を表明しました。

 

2014年の年末、消費税増税の延期を決めた際、強い口調で再延期はしないと発言していました。

しかし、国会での発言や有識者との会合、さらにはG7などで、徐々にその姿勢を修正していることが伺え、

ついにその再延期を表明したときは、少なからず衝撃を受けました。

 

2014年12月7日、「消費税増税延期の年金制度への影響」と題して、当ブログにアップしたのですが、

その際の課題が、当然ながらそのまま残っています。

①国民年金の受給資格期間の短縮

②年金生活者支援給付金の支給

これらの施策は、無年金者、低年金者対策として設けられていたものです。

期待をしていた方もいらっしゃったことと思います。

 

しかし、これはあくまで消費税の10%への増税とセットの話です。

消費税増税が延期されれば、これらの施策も延期になる可能性が十分にあります。

各年金事務所では、国や日本年金機構本部から今後の対応について指示がないとして、

問合せに答えられない状況になっているようです。

 

消費税増税を見込んだ政策は他にもありましたが、

安倍首相は会見において、増税した場合と同じだけのことはできないと発言しています。

 

もちろん、増税の延期は、景気に対して一定の効果はあるのでしょう。

増税の延期によって、何はできるが、何はできなくなるのか。

夏の参議院選挙で判断ができるよう、説明があることを望みます。

平成28年度の年度更新(2016/5/28)

そろそろ、皆様のお手元に労働保険の年度更新の申告書が送られてくる時期です。

厚生労働省のHPでは、5月末から順次お届けする予定です、との記載がありますので、

早ければもう手にされている方もいらっしゃるかもしれません。

 

先日、労働基準監督署を訪問した際、今年度の申告書を入手できました。

内容を確認したところ、継続事業では、主に以下のような変更点がありました。

1.法人番号の記入

 今年度より、申告書に「法人番号」の記入欄が設けられています。

 個人事業主の場合は、13桁すべてに「0」を記入することになっています。

 ※マイナンバーを記入しないようにご注意ください。

2.雇用保険料率の変更

 平成28年度は雇用保険料率が引下げになりました。

 これによって、平成27年度の確定申告と、平成28年度の概算申告の雇用保険料率が異なります。

 

また、一括有期事業では、消費税の取り扱いに注意が必要です。

1.請負金額に関する消費税の取り扱い

 請負金額は、平成27年4月1日以降に開始された工事については消費税を除いた額を、

 平成27年3月31日以前に開始された工事については消費税を含めた額を記入します。

2.消費税率等に係る暫定措置

 労務比率により保険料の算定基礎となる賃金総額を算出する場合、

 平成25年10月1日から平成27年3月31日までに開始した工事については、

 消費税率等に係る暫定措置が適用されます。

消費税2.JPG

詳しくは、皆様のお手元に届く申告書の書き方、又は下記のURLより厚生労働省のHPをご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/roudouhoken21/

平成28年熊本地震の被災地における厚生労働省の特例措置(2016/5/22)

厚生労働省は、4月14日に発生した熊本地震を受けて、当面の特例措置を公表しています。

例えば、以下のような内容が挙げられています。

 

1.労働保険料等の納期限等の延長

 延長されるのは、4月14日以降から延長後の納期限等の前日までに申告・納期限の到来する

 労働保険料や一般拠出金等です。延長後の納期限等は今後の災害の復旧状況を踏まえ、

 災害のやんだ日から2か月以内の日を告示で定めるとしています。

 

2.厚生年金保険料等の納期限の延長

 延長されるのは、4月14日以降から延長後の納期限の前日までに納期限の到来する

 厚生年金保険料や全国健康保険協会の管掌する健康保険料等です。

 延長後の納期限は、同じく災害のやんだ日から2か月以内の日を告示で定めるとしています。

 

3.雇用保険失業給付の特例措置

 熊本県内の事業所が地震の被害により休止・廃止したために、

 ①休業して賃金を受けることができない人(実際に離職していない)

 ②一時的に離職して事業再開後に再雇用が予定されている人

 については、特例措置により失業者とみなして雇用保険の失業給付を受給できるようになります。

 

4.雇用調整助成金の特例措置

 ①生産量、販売量、売上高などの事業活動を示す指標の確認期間を短縮(3か月から1か月へ)

 ②休業を実施した場合の助成率を引き上げ(中小企業:2/3から4/5へ、大企業:1/2から2/3へ)

 ③新規学卒採用者など、雇用保険被保険者としての継続雇用期間が6か月未満でも助成対象とする

 ④過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主であっても、

  ア.前回の支給対象期間が満了した日から起算して1年を経過していなくても受給できることとする

  イ.受給可能日数の計算において、過去の受給日数に関わらず、

   今回の特例の対象となった休業等について新たに起算する

 ⑤最近3か月の雇用量が対前年比で増加していても受給できることとする

 ⑥平成28年7月20日までに初回の計画届を提出した場合、事前に計画届が提出されたものとみなし、

  平成28年4月14日以降に開始された休業等に遡及適用する

 

中には、熊本県外に所在地のある事業主等であっても受けられる特例措置もあります。

要件等の詳細は各行政機関にお問い合わせください。

 

また、下記のURLより、厚生労働省ホームページ(平成28年熊本地震関連情報)もご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431.html

(被災された事業主の方へ)平成 28 年熊本地震に伴う特例措置のご案内

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11601100-Shokugyouanteikyoku-Koukyoushokugyouanteijouneikikakushitsu/0000123174.pdf 

東京地裁での労働契約法20条違反の判決(2016/5/15)

5月13日、東京地裁は、労働契約法20条(有期労働者への不合理な労働条件の禁止)違反により、

会社が原告の3人に対し、計約400万円を支払うよう命じました。

 

この判決は、定年後同じ会社に有期で再雇用された男性3人が、

定年前と同じ仕事をしているのに賃金が下げられたことを不服として争われた事案で、

裁判長は「正社員と嘱託社員で職務内容や配置変更(転勤)の範囲、責任の度合いに違いがないのに、

賃金額が異なるのは不当だ」とし、原告の主張を全面的に認めたものです。

 

高年齢者雇用安定法に対応するため、

定年後に有期で再雇用するという制度を設けている会社は少なくないと思います。

その再雇用の際に、年金や高年齢雇用継続給付を活用しながら、賃金額を抑制している会社もあります。

 

この判決では、

「『特段の事情』がない限り、同じ業務内容にもかかわらず賃金格差を設けることは不合理だ」と指摘し、

コスト圧縮の手段とすることは正当化されない」とする一方で、

「コストの増大を回避しつつ定年者の雇用を確保するため、

賃金を定年前より下げること自体には合理性が認められるべきだ」とも示しています。

 

原告側弁護団によると、定年後の労働者の賃金額の妥当性をめぐる司法判断は初めてとのことですが、

今後、継続して司法の判断が出てきそうな論点です。

高年齢者と若年者との雇用のバランスを考える上でも、重要なところではないでしょうか。

特定労働者派遣事業の事業廃止命令等(2016/5/8)

平成28年3月23日の厚生労働省のプレスリリースによると、

厚生労働省は、「関係派遣先派遣割合報告書」を提出しない事業主に対して、

労働者派遣事業の許可を取り消し、特定労働者派遣事業の事業廃止を命じたとのことです。

 

旧法でいう一般派遣の許可取り消しは3社、特定派遣の事業廃止は594社となっています。

 

処分理由として、以下の項目が挙げられています。

1.提出期限を経過しても関係派遣先派遣割合報告書の提出が無かったこと

 (平成25年度分または平成26年度分)

2.これに対する労働者派遣法に基づく指導に従わなかったこと

3.労働者派遣法に基づく指示を行ったにもかかわらず、関係派遣先派遣割合報告書の提出が無かったこと

 

昨年の労働者派遣法の改正によって、

旧特定派遣の事業主が派遣業を継続するためには、許可を取得しなければならなくなりました。

旧特定派遣は届出のみで事業が行えたため、法に対する意識が低くなりがちです。

提出物についてもご注意ください。

なお、派遣実績が無い場合でも、関係派遣先派遣割合報告書の提出は必要です。

雇用促進税制の適用期限が2年間延長されました(2016/5/1)

雇用促進税制の適用期限が2年間延長され、また支給要件が一部変更になっています。

 

雇用促進税制とは、適用年度中に雇用者数を5人以上(中小企業等は2人以上)

かつ10%以上増加させるなど、一定の要件を満たした事業主が、

法人税(個人事業主の場合は所得税)の税額控除の適用を受けられる制度です。

※税制面ついては、税務署又は税理士の先生にお問い合わせください。

 

主な変更点は以下の通りです。

1.適用が、平成28年4月1日から平成30年3月31日までの期間内に始まる事業年度に延長

 (個人事業主の場合は、平成29年1月1日から平成30年12月31日までの各年)

2.同意雇用開発促進地域(*)内に所在する事業所に限定

3.新たに雇い入れた無期雇用かつフルタイムの雇用増加に限定

4.所得拡大促進税制との同時適用が可能(これまでは選択適用)

 

(*)地域雇用開発促進法に規定する同意雇用開発促進地域

東京都、神奈川県、千葉、埼玉などは該当地域ではありません。(平成28年4月1日現在)

詳細は、下記のURLより、厚生労働省ホームページをご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/pdf/chiiki-koyou_02a.pdf

 

雇用促進を図る対象を重点的に絞り込みつつ、

引き続き所得の拡大を目指すというイメージになると思います。

雇用促進計画の提出書類が増えておりますので、ご注意ください。

 

厚生労働省による雇用促進税制の説明については、下記のURLをご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/roudouseisaku/koyousokushinzei.html

株式会社インテリジェンスによる平均時給分析(2016/4/25)

株式会社インテリジェンスが運営する求人情報サービス「an」で、

求人情報メディアに掲載された求人広告から173職種について、平均時給を分析しています。

 

そのニュースリリースを見ると、2016年3月の全国平均時給は976円で、

前月比1円の減少、前年同月比11円の減少となっています。

また、「an」に寄せられる求人数は前月比+4.7%、前年同月比+21.0%で、

最高値を更新しているとのことです。

 

また、2016年3月の職種別平均時給は、「営業系」(1,160円)が最も高く、「専門職系」(1,137円)、

「運輸職系」(1,053円)、「事務系」(1,006円)、「サービス系」(984円)、「技能・労務系」(978円)、

「フード系」(926円)、「販売系」(901円)と続いています。


3月の全体時給は前月比・前年同月比ともに微減となっており、

求人数は春の入れ替わり時期のため年間で最も多いとのことです。

求人市場は引き続き採用難が続いているものの、一部では時給の上げ止まりが見られ、

シフト緩和など、給与以外での人員確保の動きが見られるという部分が目を引きました。


昨年のニュースリリースと比較して、全ての数字が上がっているという訳ではなく、

今年は動きが穏やかになったのかなと感じました。

積極的にはなりきれない、けれども、人は欲しい。

そういう心情が数字として表れている気がしました。

平成28年度の社会保険適用促進対策等(2016/4/17)

今年度も年金事務所では、厚生年金保険等の適用の適正化を図るため、

定時決定時調査等の事業所調査を行う旨の案内がありました。

調査内容としては、年金事務所等への来所による賃金台帳や出勤簿等の諸帳簿類の確認等となります。

 

平成28年度の厚生労働省予算概算要求の主要事項の中には、

「安心できる年金制度の確立」の項目があり、以下の4点を挙げています。

1.持続可能で安心できる年金制度の運営

2.正確な年金記録の管理と年金記録の訂正手続の実施

3.日本年金機構による公的年金業務の着実な実施

4.日本年金機構における不正アクセスによる情報流出事案を踏まえた情報セキュリティ対策

 

このうち、3.の公的年金業務の着実な実施の中に、

厚生年金保険の適用調査対象事業所の適用促進対策や国民年金の保険料収納対策の推進があり、

その予算額は2,993億円となっています。

前年度の同予算額は2,766億円であり、予算的にも強化されていることが伺われます。

 

なお、国民年金の保険料収納対策においては、特に、高所得者への強制徴収の徹底を図るため、

控除後所得350 万円以上かつ未納月数7 月以上の全ての滞納者に督促を実施するとの記載もあります。

平成27 年度においては、控除後所得400 万円以上かつ未納月数7月以上のすべての滞納者、

というのがその範囲であったことから、国民年金の保険料収納対策の強化も図られています。

 

4.の情報セキュリティ対策は今年度からの新規の項目です。

公平・公正な社会の実現のため、マイナンバーの社会保険への適用は有用とも思いますが、

マイナンバー制度がうまく機能していない報道をよく目にします。

年金事務所は情報漏えい事件の記憶もいまだ残っていますので、しっかりとした対策の実施を望みます。

健康保険の標準報酬月額及び標準賞与額の上限改定(2016/4/10)

平成28年4月1日より、健康保険の従来の標準報酬月額の最高等級(第47級/121万円)の上に、

第48級から第50級の3等級が追加され、上限が引き上げられました。

(厚生年金保険の標準報酬月額の最高等級は、変更ありません。)

健康保険法及び船員保険法における現在の標準報酬月額の最高等級(47級・121万円)の上に3等級が追加され、上限が引き上げられます。

 

また、年度の累計の標準賞与額の上限が、従来の540万円から573万円に引き上げられます。

健康保険法及び船員保険法における年度の累計標準賞与額の上限が540万円から573万円に引き上げられます。

(厚生年金保険の標準賞与額の支給1回当たりの上限額(150万円)は、変更ありません。)

 

この標準報酬月額の上限改定に伴い、

改定後の新等級に該当する被保険者の方がいる対象の事業主に対して、

4月中に管轄の年金事務所より改定通知書が送られます。

 

なお、この改定に当たっては、事業主の方からの手続きは不要となっています。

つまり、上記改定を認識していないと、社会保険料の上昇に気づかず、

事業主と被保険者の方の相互の負担額が、適正に計算されない可能性があります。

 

さらに、協会けんぽの健康保険料率の変更は3月分から(2016/2/21ブログ参照)ですが、

この改定は4月1日からとなっており、ひと月ずれています。

給与計算の際には、ご注意ください。

平成28年度雇用保険料率(2016/4/3)

3月29日に、平成28年度の予算が成立しました。

平成28年4月1日から平成29年3月31日までの雇用保険料率は、以下の通り引き下がります。


●一般の事業           11/1000(昨年度13.5/1000)

 うち、労働者負担:4/1000、事業主負担:7/1000

●農林水産・清酒製造の事業 13/1000(昨年度15.5/1000)

 うち、労働者負担:5/1000事業主負担:8/1000)

●建設の事業           14/1000%(昨年度16.5/1000)

 うち、労働者負担:5/1000事業主負担:9/1000)

 

平成27年度と比較すると、

失業等給付の雇用保険料率は、労働者負担・事業主負担とも1/1000ずつ引き下がり、

雇用保険二事業の保険料率(事業主のみ負担)は、0.5/1000の引き下がりです。

 

下記のURLより、厚生労働省ホームページをご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html


また、平成28年度予算の中では、

厚生年金保険の適用調査対象事業所の適用促進対策や

国民年金の保険料収納対策推進の予算が増額されています。

引き続き、社会保険の適用徴収業務は強化されそうです。

社労士のニーズに関する企業向け調査結果(2016/3/27)

全国社会保険労務士会連合会は、

社労士のニーズに関する企業向けの調査を実施し、その結果報告を行いました。

この調査は25,000社に対し、郵送によって行われ、有効回答数は6,921社(回収率:27.7%)でした。

 

以下は、その調査のうち、社労士の認知度・依頼の有無の調査結果です。

・社労士は知っているし、現在利用している        56.4%

・社労士は知っているし、過去利用したが現在は利用なし  9.7%

・社労士は知っているが、利用したことはない       30.6%

・社労士という存在は知らないし、利用したこともない    0.5%

・無回答                        2.8%

 

つまり、社労士を知っているという認知度は96.7%あり、

現在の利用率は56.4%、過去の利用も含めれば66.1%にもなるという結果でした。

なお、この調査は大企業ばかりが回答しているかというとそうでもなく、

従業員規模が100人未満の企業で回答の63.7%、300人未満で87.5%を占めています。

 

実感としては、社会保険労務士の認知度はまだまだ低いと感じていたので、

中小企業も含め、企業の中でその存在が浸透していることに少し驚きました。

ただ認知度と利用率に差が出ているように、名前は知っているが何ができる職業なのだろう

というところで、うまくアピールできていないのかもしれません。

 

調査では、調査結果の分析評価や、それに基づく提言なども盛り込まれています。

この調査結果を、今後の事務所運営の参考にしていきたいと思います。

2016春闘(2016/3/22)

2016年の春闘は、3月16日が集中回答日でした。

 

回答では、基本給を引き上げる回答が多く、賃金上昇の傾向は継続しているものの、

去年に比較すると低い水準にとどまったようです。
 

連合のHPでは、第1回回答集計結果についてのプレスリリースが掲載されています。(以下、一部抜粋)


・平均賃金方式では711組合(昨年同期比87組合減)、

 回答額は6,341円(昨年同期比1,156円減)。

・300人未満の中小労組では、回答を引き出した組合は376組合(昨年同期比43組合減)、

 回答額は5,226円(昨年同期比521円減)。

・非正規労働者の賃上げ(加重平均)は、時給で18.92円(昨年同時期比0.75円減)、

 月給は5,134円(昨年同時期比946円増)。
 

経済の先行き不透明感から経営側も慎重になっているようです。

この流れは、最低賃金の動向や消費税の増税にも影響があると考えられます。
 

なお、「味の素」では、労働組合はあえてベースアップを要求せず、

所定労働時間の短縮を経営側に要求しました。

基本給を維持しながら、所定労働時間を1日あたり20分短縮することで妥結し、

実質的には月14,000円以上のベースアップに相当するとのことです。
 

ここ2年ほど、官製春闘という表現が使われてきましたが、

今回の春闘では、労働力確保のため、という報道をよく耳にしました。

官製ではない、実際の労働力需給の関係性がより表れたように感じます。

その一例として「味の素」の事例は、興味深いものに思いました。

若者雇用促進法の一部施行(2016/3/13)

「青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)」の一部が平成28年3月1日から施行されました。

施行された内容は以下の通りです。

 

●適切な職業選択のための取り組みの促進

1.事業主による職場情報の提供の義務化

 新卒者の募集を行う企業に対し、企業規模を問わず、幅広い情報提供を努力義務とし、応募者等からの求めがあった場合は、次の(ア)〜(ウ)の3類型ごとに1つ以上の情報提供を義務付けました。

 (ア)募集・採用に関する状況

 (イ)労働時間などに関する状況

 (ウ)職業能力の開発・向上に関する状況

 

2.労働関係法令違反の事業主に対する、ハローワークの新卒者向け求人の不受理

 ハローワークは、一定の労働関係法令違反があった事業所などからの新卒者の求人申し込みを受け付けないことができるようになりました。

 

 なお、職業紹介事業者においても、ハローワークにおける求人の不受理に準じた取り組みを進めるため、ハローワークが不受理とすることができる求人者からの学校卒業見込者などの求人は取り扱わないよう、職業紹介事業の取扱職種の範囲などの届出を行うことが望ましいこと、などともされています。

 

厚生労働省のホームページにあるパンフレットでは、3類型ごとの情報提供の具体的な項目や、

いわゆる固定残業代を採用する場合の明示すべき項目についての注意なども記載があります。

下記のURLより、厚生労働省ホームページをご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000097679.html

派遣法の暫定的な配慮措置における1つの事業所(2016/3/6)

2015年10月4日のブログにて、派遣業の許可申請における、

財産的基礎に関する判断の小規模派遣元事業主の暫定的な配慮措置について記載しました。

 

この暫定的な配慮措置には以下のような条件があります。

①1つの事業所のみを有し、常時雇用している派遣労働者が10 人以下である中小企業事業主

②1つの事業所のみを有し、常時雇用している派遣労働者が5 人以下である中小企業事業主

この「1つの事業所」という考え方につき、労働局の方からお話しを聞く機会がありましたので記載します。

 

ここで言う「1つの事業所」とは、その事業所が派遣業を行っている事業所でなくてもカウントされます。

また、雇用保険の非該当事業所であっても事業所数としてカウントされます。

そのため、派遣業を営業していなくても、また、小規模な事業所であったとしても、

複数の支店や営業所がある場合には、上記の暫定的な配慮措置の適用を受けることができません。

 

旧特定派遣を行っていた小規模企業が、改正後の派遣法による許可を得ようとする際には、

財産的基礎に関する判断の条件は、高いハードルの1つになる可能性があります。

その条件を緩和するため、暫定的な配慮措置の適用を検討する際に、

この「1つの事業所」で引っかかることがあるようですので、ご注意ください。

平成27年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果(2016/2/27)

昨年11月に実施した「過重労働解消キャンペーン」における重点監督について、

厚生労働省がその実施結果を公表しています。

(出典:厚生労働省HP )http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000113029.html
 

1.重点監督の実施事業場:5,031事業場

 このうち、3,718の事業場(73.9%)で労働基準関係法令の違反あり。

2.主な違反内容(1.のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場)

 (1)違法な時間外労働(*)があったもの :2,311事業場(45.9%)

 (2)賃金不払い残業があったもの :509事業場(10.1%)

 (3)過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの :675事業場(13.4%)

  *違法な時間外労働…労働基準法第32 条違反の件数

   (36協定なく時間外労働を行っているもの、36協定で定める限度時間を超えて

    時間外労働を行っているものなど違法な時間外労働があったものの件数)


なお、2.(1)のうち、時間外労働(法定休日における労働も含む)の実績が

最も長い労働者の時間数が月100時間を超えるものは799事業場(34.6%)でした。


この重点監督では、数多く寄せられた情報の中から、過重労働の問題があることについて、

より深刻・詳細な情報のあった事業場を優先して対象としているため、

労働時間の違反のあった事業場の比率が45.9%と高くなっている、と指摘しています。

(平成25 年の定期監督等における比率は21.1%)

 

昨年の同重点監督での法違反率が83.6%であったのに対し、

今年の重点監督での法違反率は73.9%と約10%低下しています。

この数字だけを見れば改善したようにも見えますが、依然高い違反率であることに変わりはないでしょう。

平成28年度協会けんぽの保険料率(2016/2/21)

平成28年度の協会けんぽの健康保険料率及び介護保険料率が、協会けんぽのHPに掲載されました。

東京都の健康保険料率は、平成28年3月分(4月納付分)より9.97%から9.96%へ引き下げられます。

介護保険料率(1.58%)は据え置きとなっています。

 

これらの保険料率は、一般の被保険者は3月分(4月納付分)より、

任意継続被保険者については4月分から適用となります。

 

なお、東京近県の協会けんぽの健康保険料率は以下のようになっています。

 埼玉県  9.91%

 千葉県  9.93%

 神奈川県 9.97%

 

なお、失業等給付に係る雇用保険料率については、現行の1.0%から0.8%に引き下げられる見通しです。

(失業の予防、雇用機会の増大、労働者の能力開発等に資する雇用対策としての、雇用保険二事業を除く)

1月29日に国会に法律案が提出されていますので、その動向は改めてブログにアップしたいと思います。

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