平成28年度過重労働解消キャンペーン(2016/11/19)

今年も、厚生労働省では「過重労働解消キャンペーン」を実施しています。

実施期間は、平成28年11月1日(火)から11月30日(水)までの1か月間です。

 

主な実施事項は、大まかには昨年同様のようです。

そのうち「重点監督の実施」について、以下のように公表されています。

 

ア.監督の対象とする事業場等

 ①長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場等

 ②労働基準監督署及びハローワークに寄せられた相談等を端緒に、

  離職率が極端に高いなど若者の「使い捨て」が疑われる企業等

イ.重点的に確認する事項

 ①時間外・休日労働が36協定の範囲内であるかについて確認し、法違反が認められた場合は是正指導

 ②賃金不払残業がないかについて確認し、法違反が認められた場合は是正指導

 ③不適切な労働時間管理については、労働時間を適正に把握するよう指導

 ④長時間労働者については、医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられるよう指導

ウ.書類送検

 重大・悪質な違反が確認された場合は、送検し、公表

 

これらも基本的には、昨年同様の内容なのですが、必要に応じ夜間の立ち入りを実施することや、

若者の「使い捨て」が疑われる企業等については、監督指導の結果、法違反の是正が図られない場合、

是正が認められるまでハローワークにおける職業紹介の対象としない旨の注記がされていました。

 

厚生労働省ホームページ 過重労働解消キャンペーン

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign.html

 

今年はこのキャンペーン直前に電通の報道がなされ、その後も過重労働に関する報道が絶えません。

そして、今年のブラック企業大賞は少し日程が遅れているようで、

12月1日にノミネート企業が発表され、12月23日が授賞式だそうです。

あまり楽しい話題とは言えませんが、今年は注目度が高そうです。

労働基準監督官の増員(2016/11/12)

政府は労働基準監督官を増員する方針である、との報道がありました。

電通の過労自殺問題を受け、長時間労働の監督や取り締まりを強化するためとのことです。

 

労働基準監督官とは、労働基準関係法令に基づいて職場に立ち入り、

労働条件の確保・向上、働く人の安全や健康の確保を図る厚生労働省の専門職員であり、

違反者を逮捕、送検するという強い権限も持つ特別司法警察職員です。

 

三六協定の規制の在り方などが議論されているところですが、

どのような規制があったとしても、現状の監督行政は人手不足で、

実効性のある規制は難しいのではないかと思っていたところです。

そのため、労働基準監督官が増えれば、状況は変わってくるのかなと思います。

 

ただし、労働基準監督官は簡単に増やすことはできません。

現在、労働基準監督官は全国321の労働基準監督署に3,241人が配置されているそうですが、

ある記事では、平成28年度の増員数は、例年のほぼ2倍程度の22人を予定しているとか。

 

人を増やすためには、まずは予算が必要です。

また労働基準監督官は強い権限を持つこともあり、試験や採用過程も厳しいようです。

そのため、急増させるということではなく、着手していくということなのでしょう。

 

そうは言っても、監督行政の強化という方向性は間違いないと思います。

労働環境も急激に変えることは困難です。

今のうちから徐々に労働環境の整備を進めていくことをお勧めします。

東京高裁での労働契約法20条違反の原告逆転敗訴(2016/11/5)

以前、東京地裁での労働契約法20条違反の判決(2016/5/15)というタイトルで

当ブログで記載した事件について、東京高裁での判決が出ました。

控訴審では、一審での判決を取り消し、原告の訴えを棄却するという判断です。

 

そもそもの訴訟内容は、定年後に嘱託社員として再雇用された社員3人が、

職務内容は同じなのに賃金を約3割引き下げられたのは

労働契約法20条(有期労働者への不合理な労働条件の禁止)に違反するとして、

勤務先の会社に是正を求めたものです。

 

控訴審では、「定年後再雇用での賃金減額は一般的で、社会的にも容認されている」として

一審判決を取り消し、原告の訴えを棄却することとなりました。

これに対し、原告側弁護団は「減額が一般的だとしても、通常は職務内容や責任が変わっている。

社会的に容認とする根拠は何もない」とし、上告する方針とのことです。

 

この裁判の行方は、同一労働同一賃金の議論や、高年齢者の雇用政策において重要です。

その2つは、「働き方改革実現会議」の当面のテーマとして挙げられた9項目にも入っています。

それに関する最高裁の判断が出るとすれば、当然社会的にも大きな影響があるでしょう。

裁判の結論とともに、その経緯についても注視したいと思います。

マイナンバーの状況(2016/10/30)

平成29年1月から、健康保険の各手続きにおいてもマイナンバーが利用される予定です。

そのため、各健康保険組合では、この10月ぐらいからその収集を始めているところが散見されます。

各企業様においては、それぞれご対応されていることと思います。

 

一方で、日本年金機構では、昨年6月に公表された情報漏洩問題を受け、

マイナンバーの利用が延期となっています。

よって、日本年金機構では、何らかの手続きの添付資料として住民票を提出する場合などは、

むしろマイナンバーの記載がないものの提出が要求されます。

 

すでに雇用保険や税の分野では適用が開始されています。

一時期は多くの報道もされ、それを商機として様々な営業が行われたり、

普及啓発活動やセミナーなどもあったのですが、今は少し落ち着いてきているかに見えます。

逆に言えば、少し関心が薄れてきているのかなとも危惧しています。

 

今回の健康保険組合での収集や年末調整などのタイミングに合わせ、

また改めて、報道などでも見られるようになるかもしれません。

 

皆さまのマイナンバーへのご対応状況はいかがでしょうか。

過労に対する労働行政(2016/10/23)

電通での過労自殺についての報道は、社会的に大きな影響を見せています。

ひと時のニュースとして過ぎ去ってしまわなかったことが救いかなと思っています。

 

同社では、実は3年前にも当時30歳であった男性が過労自殺していたという報道も見聞きし、

25年前から、実態としては何も変わっていないのではないかと疑いたくなってしまいました。

同じ会社で、労働によって繰り返し人がなくなっていることを考えると、

労働監督行政としても、問題があるような気がします。

 

様々な記事を読んでいると、時間外労働の時間数が記事になっているのですが、

おそらくはより長い時間の労働が行われていたと推測されますし、

さらに、それをやらなければいけない企業文化のようなものもあったものと思われます。

それはハラスメント行為にもつながるものだったかもしれませんし、相当のストレスだったでしょう。

とすれば、単純に労働時間の長短だけで語れるものでもないと考えられます。

 

過労死や過労自殺が世に出ているのは氷山の一角といわれています。

一生懸命に働くことは、もちろん良いことだと思いますが、

人を死に追いやるような働き方はあってはならないと思います。

 

今後、改めて労働行政も厳しくなるでしょうし、国会等でも議論が活発になるでしょう。

世にはブラック企業という言葉が使われていますが、その言葉自体には公式な定義がありません。

そのため、人によって言葉の意味に差異があって、うまく議論ができない場合があります。

呼び方はともあれ、どういう対象を規制していくか、より本格的な議論が必要なのではないでしょうか。

東京都の20時完全退庁の取り組み(2016/10/16)

平成28年10月14日から、東京都において、「20時完全退庁」の取り組みが始まりました。

 

都知事選挙で残業ゼロを掲げていた小池都知事が、

都庁職員の働き方を変えるため、スタートさせた取り組みです。

午後8時前後に多くの職員が退庁し、職場の電気が消灯されていく様子がニュースで流れていました。

 

午後5時までに事前申請すれば、午後8時以降も残業は可能というルールとのことで、

消灯されたフロアの電気が再び点灯される様子も映していました。

初日は本庁舎に勤務する約1万人のうち、500人ほどから残業申請があったそうです。

 

これまでも多くの企業で取り組まれてきた長時間労働の削減。

一般企業でも、ノー残業デーや消灯によって退社を促すことなどは、これまでもありました。

ただ結局は業務量が変わらず、労働生産性も変わらなければ、仕事が滞るのみとなります。

国の働き方改革においても、労働生産性の向上はテーマの一つです。

 

東京都は、豊洲問題や五輪問題がクローズアップされ、業務量が増えているようにも見受けられます。

ただそれは巨大組織の一部でしかないのかもしれず、全体像はわかりません。

残業代も税金です。

行政の機能を滞らせることなく、税金を有効に使ってもらいたいと思います。

初の過労死等防止対策白書(2016/10/10)

平成28年10月7日、厚生労働省は、過労死等防止対策白書を公表しました。

 

これは平成26年11月に施行された過労死等防止対策推進法に基づいて、

国会に毎年報告を行う年次報告書で、初めて作成された過労死等防止対策白書です。

データや図表が多く掲載されて、目には見やすいのですが、

記載されている内容は、さすがに見ていて楽しいものではありません。

 

それと同日に、電通の女性社員(当時24歳)が昨年末に自殺したのは、

長時間の過重労働が原因だったとして労災が認められたという報道を見ました。

 

同社は、従業員の過労自殺に関わる民事上の損害賠償請求事案について、

自殺と業務との因果関係を認めた初めての最高裁の判断が示された裁判で有名です。

その同じ会社で、再び過労死認定を受ける自殺が発生したのは衝撃でした。

 

このような白書なども含め、過労死に対する認知や周知がなされ、

死亡案件のみならず、不幸な事件や事故が少しでも減ることを祈ります。

 

厚生労働省HP 「過労死等防止対策白書」を公表します

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000139008.html

(なお、10月下旬から政府刊行物センターなどで販売する予定とのことです)

第1回働き方改革実現会議(201/10/2)

平成28年9月27日、第1回「働き方改革実現会議」が開催されました。

安倍総理は、この会議における当面のテーマについて、以下の9項目を挙げています。

 

 1.同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善

 2.賃金引き上げと労働生産性の向上

 3.時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正

 4.雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題

 5.テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方

 6.働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備

 7.高齢者の就業促進

 8.病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立

 9.外国人材の受入れの問題

 

また、安倍総理は同じ挨拶の中で

「働き方改革は、社会問題であるだけでなく、経済問題であります。」とも発言しています。

まさにその通りだと思います。

 

そして、いずれの項目にしても、昨日今日に始まった課題というわけではなく、

かねてからの懸案事項であり、だからこそ、根深く、困難を伴うのでしょう。

 

第2回以降の会議、そして具体的な政策について。

今後どのような内容が示されてくるのか、注目したいと思います。

厚生年金保険料の変更(2016/9/24)

厚生年金保険料率の変更の時期となってきました。

厚生年金保険の保険料率は、平成28年9月分(10月納付分)から

18.182%(折半9.091%)となります。(一般被保険者)

 

現在、厚生年金の保険料率には「保険料水準固定方式」が導入されています。

これは、将来の保険料水準を固定したうえで、給付水準を調整する仕組みで、

平成29年9月分として18.3%で固定されるまで、毎年段階的に引き上げられます。

 

また、7月上旬に提出した算定基礎届による標準報酬の変更(定時決定)にも注意が必要です。

この定時決定も9月分(10月納付分)から適用になります。

もし、まだお手元に決定通知が来ていないようであれば、年金事務所に確認したほうが良いと思います。

 

なお、平成28年10月分(11月納付分)から、厚生年金保険の標準報酬月額の下限が88千円となります。

協会けんぽのHPで保険料額表を確認すると、以下の2つがあります。

  • 平成28年度保険料額表
  • 平成28年度保険料額表(平成28年9月分)

これは、この下限の違いがあり、9月分と10月分以降が別の表になっているためです。

 

下限が変更になることで、厚生年金保険の標準報酬の等級と月額の関係がずれます。

また、下限の変更は10月分(11月納付分)からなので、保険料率の変更とはひと月ずれています。

給与計算のご担当者様には、給与計算ソフトの設定等にご注意ください。

学生向け就活準備イベント(2016/9/19)

昨日(9/18)、学生向け就活準備イベントに参加させていただきました。

前半で基本的なマナーや自己分析等を行い、後半は社会人の方が仕事紹介を行うという企画で、

弊所では社会保険労務士の仕事について、簡単に紹介させていただきました。

 

ただ、社労士の業務紹介よりも、近時の就活セミナーを聴講できたことが、大変参考になりました。

また、セミナーの後は懇親会も開催され、就活生の方々と直接お話しできました。

今回の参会者の方々は、大学3年生が多かったようですが、

ワークを見ていても、大変意識が高く、レベルも高い方々だったと思います。

 

それでも。

「就活に漠然と不安を感じている」

「何をしていいかわからない」

「自分の目標が分からない」 など。

就活生の本質的な悩みは、変わらないということを感じました。

 

逆に、就活生のパワーをもらったような気もしています。

「働いただけ貰えるなら、ブラックでもいい」という少し刺激的な意見もありました。

会話の流れの一節なので、厳しいご指摘はご容赦いただきたいのですが、

これぞ若さなのだろうなと、素直に感動しました。

 

労働関係法令や社会保険制度は、人生全般にわたって重要な仕組みです。

にもかかわらず、学校教育ではほとんど扱われません。

是非、就活生の方々にも知っていただきたい。

今後とも、このような機会があれば、参加したいと思います。

情報漏えいとマイナンバー対策(2016/9/10)

来年からのマイナンバー対応を見据え、健康保険組合ではその収集を始めるところがあるようです。

すでに雇用保険や税務でもマイナンバーは導入されていますが、

年末調整も控えており、再びマイナンバーの対応が話題に上るのではないかと思います。

 

ちなみに、日本年金機構では、マイナンバーの利用は延期となっています。(以下HP参照)

日本年金機構におけるマイナンバーへの対応

http://www.nenkin.go.jp/mynumber/kikoumynumber/1224.html

 

ところで、9月1日に、クラウド型データストレージサービスを提供するDropboxから

4年前にユーザー約6800万人のIDとパスワードが盗まれていたという発表がありました。

流出したパスワードは暗号化されていて、

発表時点ではアカウントへの不正アクセスの兆候はないとのことですが、不安なニュースです。

 

昨年から、マイナンバー対応のため情報セキュリティを強化する方法として、

クラウドにデータを保管するようにしている事業者様もいらっしゃるかと思います。

ただし、この報道にあるように、クラウドで保管するから安全ということではなく、

クラウドで保管することのメリットとデメリットがあるので、ご注意いただきたいところです。

 

振り返れば今年の6月14日には、JTBが、その子会社において標的型攻撃を受け、

最大で約793万人分の個人情報が流出した可能性があると公表しました。

 

まだあまり身近なことに感じられない問題だからかもしれないのですが、

社会全体がこういった報道に慣れてきてしまっているのかなという気もします。

一度対策を行って終わりということではなく、折に触れ、継続的に考えていく必要があるように思います。

平成28年度地域別最低賃金の改定額答申(2016/9/4)

厚生労働省のHPでは、平成28年度の地域別最低賃金の改定額が公表されています。

平成28年9月2日現在で、35の都道府県の地域別最低賃金が掲載されています。

 

主な東京近県では以下のような最低賃金時間額となっています。

・東京  932円(平成27年度 907円) 発効年月日:平成28年10月1日

・埼玉  845円(平成27年度 820円) 発効年月日:平成28年10月1日

・千葉  842円(平成27年度 817円) 発効年月日:平成28年10月1日

・神奈川 930円(平成27年度 905円) 発効年月日:平成28年10月1日

 

詳しくは、下記のURLより厚生労働省のHPをご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

 

上記4都県を見てみると、埼玉以外の3都県は目安に対する答申通り、25円の引き上げ。

埼玉は目安に対する答申では24円の引き上げとなっていましたが、25円の引き上げでした。

まだ全ての都道府県が出揃ってはいませんが、全国的に大幅な引き上げです。

これが実質賃金の上昇となり、景気の好循環につながっていくことを期待します。

 

すでに9月に入っており、発効年月日までひと月を切っています。

労務関係のご担当者様はご留意ください。

年金受給資格期間の短縮の閣議決定(2016/8/28)

平成28年8月2日に「未来への投資を実現する経済対策」が閣議決定されました。

 

その中で、「年金受給資格期間の短縮」が以下のように記載されています。(内閣府HPより)

 無年金の問題は喫緊の課題であり、年金受給資格期間を25年から10年に短縮することについて、

 平成29年度(2017年度)中に確実に実施できるよう、所要の法案を提出する。

 

消費税増税の延期を受けて、実施が不透明となっていた年金受給資格期間の短縮について、

平成29年度から実施するというものです。

 

無年金の方の生活は大変であろうと想像しますし、

生活保護世帯の増加も聞かれる中において、無年金の方の生活を支えることは、

財政や内需の下支えとしても大切なことだと思います。

また、将来不安を少しでも解消することが、一つの経済対策になるかもしれません。

 

しかしながら、もともと消費税増税による税収増を財源として考えていた施策です。

一部報道では、当初この措置で必要な国庫負担金は年約300億円とされていたが、

精査するとその必要額は600億円以上になる、という記事もありました。

財源はどうするのか。

 

一方で、8月26日に、GPIFの今年度第1四半期(4-6月)の運用損が公表されました。

資産運用は短期的な成果で評価すべきではないことはわかりますし、

それ(資産運用)とこれ(受給資格期間の短縮)は別問題であることも承知なのですが、

お金というのは、難しいものだなと感じた次第です。

熱中症による死傷災害(2016/8/21)

まだまだ蒸し暑い日が続いています。

熱中症の報道も連日のように聞かれます。

 

通常、労働中に怪我や病気になった場合、労災と認定されます。

これは熱中症も同様です。

一般的認定要件または医学的診断要件のどちらかの基準を満たせば、労災と認定されます。

 

以下は、厚生労働省のHPにある「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」のグラフです。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000084785.html

キャプチャ.JPG

近年では、毎年400件以上の熱中症による労災が発生し、また死亡者も出ていることがわかります。

その多くは、建設業及び建設業に建設現場に付随して行う警備業、製造業とのことですが、

それ以外の業種でも十分に注意が必要です。

 

適切な休憩や水分と塩分の補給など。

体調に十分留意しながら働いていただければと思います。

プレミアムフライデー構想(2016/8/14)

政府や経団連などが、月末の金曜日の15時に退庁・退社するという

「プレミアムフライデー」構想なるものを検討しているとのこと。

個人消費を喚起するため、夕方を買い物や旅行などに充てることを目的としたものだそうです。

 

昨年は「ゆう活」が提唱されました。

昨年7月20日の当ブログでもご紹介させていただきましたが、

「ゆう活」とは、日照時間が長い夏に、朝早い時間に仕事を始め、早めに仕事を終えることで、

まだ明るい夕方の時間を有効に活用し、生活を豊かにしようという取組です。

 

今年は聞かないなと思っていたのですが、

国家公務員などは、今年もワークライフバランス推進強化月間である7、8月に実施しているようです。

 

ゆう活とプレミアムフライデー構想では、その目的が異なっており、

ゆう活は、ワークライフバランスの一環として。

そしてプレミアムフライデー構想は、個人消費の喚起とされています。

そのため、経団連なども関係しているのでしょう。

 

ただいずれにしても、終業時刻を早めるということだけを打ち出しても、

そもそもの仕事量の削減や労働生産性が向上しなければ、広く普及させるのは難しそうです。

ノー残業デーという言葉もあります。

立案者は苦心されていると思うのですが、毎回その言葉を変えただけのようにも思えてしまいます。

 

労働生産性を向上させ、長時間労働を抑制することは、日本にとって大事な問題ですが、

この手の手法だけでは、なかなか難しいように思います。

夏休みこども年金教室

来る8月23日(火)に、東京都社会保険労務士会では、「夏休みこども年金教室」を開催するそうです。

概要は以下の通りです。

 

日 時: 平成28年8月23日(火)14:00〜16:00(受付開始13:30)

場 所: 千代田年金事務所4階(JR、地下鉄市ヶ谷駅から徒歩8分)

対 象: 都内や近県にお住まいの小学生とその保護者の方

定 員: 60組(大人1名+お子様2名まで)

参加費: 無 料

持ち物: 電 卓

 

申し込み締め切りは8月16日となっています。

お申し込み方法など詳細については、東京都社会保険労務士会のホームページで、

 ”新着情報欄 2016年7月5日 「夏休みこども年金教室」を開催します!

をご参照ください。

 

日程が8月23日と、夏休みも終わりに差し掛かろうとしている日程です。

お子様の自由研究にもよいのではないでしょうか。

 

年金の仕組みについては学校教育に組み込まれておらず、

残念ながら、あまりご存じない方もいらっしゃいます。

今回の企画は、「夏休みこども年金教室」と銘打っていますが、

大人の方々にも参考になる部分があるかもしれません。

地域別最低賃金額改定の目安についての答申

7月28日、中央最低賃金審議会で、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について、

厚生労働大臣からの今年度の目安についての諮問に対する答申が取りまとめられ、公表されました。

 

各都道府県の引上げ額の目安については、 

Aランク25円、Bランク24円、Cランク22円、Dランク21円となっています。

 

各都道府県に適用される目安のランクは、以下の通りです。

ランク

 都 道 府 県

 千葉、東京、神奈川、愛知、大阪

 茨城、栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島

 北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、

 山口、香川、福岡

 青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、

 熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄

今後、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、調査審議の上答申を行い、 

各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。

 

今年度の目安が示した引上げ額の全国加重平均は24円で、目安額どおりに最低賃金が決定されれば、

最低賃金が時給で決まるようになった平成14年度以降で最高額となる引上げ となります。

例えば東京は現在の最低賃金が907円なので、この引き上げ額通りになれば、932円となります。

 

詳しくは、下記のURLより厚生労働省のHPをご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000131557.html

労働者派遣事業の新規参入の資産要件の引き上げ(2016/7/24)

労働者派遣事業に新規参入する中小企業の資産要件を引き上げる、というネットニュースを見かけました。

 

労働者派遣法は昨年(平成27年)改正され、参入時の届出制をなくし許可制に統一され、

その経過措置として、中小事業者には資産要件が緩和されていたのですが、

その資産要件がこの9月末に引き上げられるというのです。

 

この引き上げが、旧特定派遣事業者の許可取得にも該当するとなると、

強い衝撃を受ける事業者様もいるのではないかと思ったのですが、どうもそうではないようです。

 

そもそも、ニュースソースが分からなかったのですが、厚生労働省HPで以下のサイトを見つけました。

「労働者派遣事業の許可基準の改正案に関する意見募集について」

http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p20160614-02.html

 

このサイト内の改正(案)というリンク(PDF)に、冒頭の記事のソースと思しき記載がありました。

正確には、リンク先を参照していただきたいのですが、

つまりは、旧特定派遣事業者に限って緩和措置を適用するように改正する、というものであり、

全くの新規参入の中小事業者には緩和措置は適用しないようにする、ということです。

 

改正から一年が経過するということで、行政側も措置を見直す段階になってきたということでしょうか。

派遣の許可申請は手続き対応だけでも半年ほどは見ておいたほうが良いと思います。

資産要件等に課題のある事業者様は、もっと期間が必要なケースも考えられます。

様子を見ている旧特定派遣事業者の方々も、そろそろ頃合いかもしれません。

7月10日が過ぎました(2016/7/18)

労働保険料の年度更新、社会保険の算定基礎届の期限である7月11日が過ぎました。

今年は7月10日が日曜日だったため、期限が7月11日まででした。

 

今年も行政協力のため、年度更新の受理業務を行うことになったのですが、

期限の7月11日を担当することになり、相当の混雑を予想していました。

ただ実際には、想定したほどではなかったように感じました。

理由はいくつか考えられますが、いずれにせよギリギリは避けるほうが賢明であると思います。

 

そうはいっても最終日なので、なるべく多くの方の申告を受理したかったのですが。

お一人だけ。

全く白紙で、全く資料を持参されなかった方は、さすがにどうすることもできませんでした。

 

労働保険をあまりご存じない方もいらっしゃるかと思いますが、

そのような場合には、事前に労働局や労働基準監督署等にご相談されるなどの対応をお勧めします。

もちろん、社会保険労務士をご活用いただけると、幸いです。

 

そして、参議院選挙が7月10日でした。

7月13日には、早速、経済財政諮問会議が行われています。

 

消費税増税が延期されたことで、社会保障の諸施策はどうなるのか。

また、安倍首相は最低賃金について「3%の引き上げに向け、最大限努力してほしい」

と指示したとのことですが、これもどうなるのか。

注目したいと思います。

定時決定時調査の目的(2016/7/10)

毎年この時期は、当HPの検索ワードで年金事務所の「定時決定時調査」が非常に多くなります。

今年は「法人番号」という単語も多く、変化のあった部分はやはり敏感になるものだと感じます。

 

さて、この「定時決定時調査」ですが、決して不正があったから調査になった、という訳ではありません。

あくまで適正な手続きができているかの確認をすることが目的です。

そろそろ二度目の調査になるところもあるはずですが、それも同様の趣旨です。

そのため、調査の案内が届いたこと自体に不安を感じることはありません。

 

また、調査の日時は変更してもらうことが可能です。

資料が期日に揃わなかったり、業務上日程調整ができない場合には、年金事務所に連絡してみましょう。

弊所でも、これまで何度か日時変更の連絡をしており、それを断られたことは今のところありません。

 

調査で不適切な手続きが見つかった場合、指導を受けることになります。

いきなり罰則を受けることは考えずらいと思いますが、遡っての納付が発生する可能性はあります。

やはり大切なことは、平素の手続きを適正に行うことと言えるでしょう。

 

さて、本日は参議院議員選挙の投票日でした。

期日前投票は過去最多、午後4時時点の投票率は前回を上回っているそうです。

どのような結果が出るのか、注目です。

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