平成29年度の定時決定時調査等(2017/4/15)

今年も、年金事務所の定時決定時調査の実施に関する周知がありました。

調査内容は、例年通り、賃金台帳や出勤簿等の諸帳簿類の確認等となっています。

 

定時決定時調査は、すべての適用事業所に対し、数年に一度行うことになっています。

調査を受けた事業所様はご存知と思いますが、適切な手続きをしていれば大きな問題は出ません。

平素から適切な手続きされることをお勧めいたします。

 

ところで、平成29年度の厚生労働省予算概算要求の主要事項の中には、

「安心できる年金制度の確立」の項目があり、以下の3点を挙げています。

1.持続可能で安心できる年金制度の運営

2.日本年金機構による公的年金業務の着実な実施

3.正確な年金記録の管理と年金記録の訂正手続の着実な実施

 

 このうち、3.の公的年金業務の着実な実施の中に、

「国民年金の保険料収納対策においては、特に、一定所得のある者への強制徴収の徹底を図るため、

控除後所得300 万円以上かつ未納月数13 月以上の全ての滞納者に督促を実施する。」とあります。

 

昨年度の予算案では、

「控除後所得350 万円以上かつ未納月数7 月以上の全ての滞納者に督促を実施する」とありました。

 

控除後所得の基準が下がっていることから、より徴収を徹底するという意図が見える気がします。

おそらく社会保険の適用についても、同様の意図があるでしょう。

 

ちなみに、昨年度は4番目として、以下の項目があったのですが、今年度は無くなりました。

4.日本年金機構における不正アクセスによる情報流出事案を踏まえた情報セキュリティ対策

大きな項目として無くなっただけかもしれませんが、マイナンバーの本格的な運用も控えています。

組織として緩むことのないようにしていただきたいところです。

第10回働き方改革実現会議(2017/4/8)

平成29年3月28日、第10回働き方改革実現会議が開催されました。

 

この働き方改革実現会議は、第10回が最終回です。

ここでの議論はとても興味深かったので、残念と思っていたのですが、

フォローアップが大事とのことで「働き方改革フォローアップ会合」が設置されました。

 

人口減少社会の中で、働き方を変えていくことは、労使ともに極めて大事だと思います。

引き続き、良い議論をしていただけることを期待しています。

 

さて、この最後の会議においては「働き方改革実行計画」が決定されました。

働き方改革会議の集大成として様々な内容が盛り込まれており、

「同一賃金同一労働ガイドライン案」や「時間外労働の上限規制等に関する労使合意」などは

別添資料としてHPにも掲載されています。

 

ご興味のある方は、下記のURLより首相官邸ホームページをご参照ください。

http://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/hatarakikata.html#headline

 

今後、当ブログでも触れられたらいいなと考えています。

 

ちなみに。

工程表の長時間労働の是正の項には、プレミアムフライデーの実施、なる記載もあります。

先だっての3月31日が2回目のプレミアムフライデーの日だったわけですが、

週末、月末に加えて、年度末の会社も多かったはず。

ほとんど報道を見なかったのですが、どれだけ実施されたのか、興味あるところです。

改正雇用保険法の成立(2017/4/1)

「雇用保険法の一部を改正する法律案」が平成29年3月31日に国会で成立しました。

 

平成29年度の雇用保険料率は、以前のブログ(2017/3/11)で掲載した内容で成立しました。

詳細は下記のURLより、厚生労働省ホームページをご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html

 

さて。同じくして育児介護休業法も改正され、今年の10月から、

これまで最長1年半だった育休期間の延長が、2年まで延長できるようになります。

その延長期間中も育児休業給付金が支給されます。

 

これに対する意見は様々なようです。

 

基本的には、待機児童問題の緊急対策としての施策であり、

育休の期間が延長されれば、待機児童問題の緩和につながると思います。

一方で、復職やキャリア形成等を考えれば女性活躍社会とは逆行する、

やはり保育園に入れる環境整備が大切ではないか、との意見も至極もっともな話だと思います。

 

ただ、やれることはやる、という意味で言えば、必要な改正だったのではないでしょうか。

厚生労働省としても、今回は緊急的な対策として位置付け、2年をメドに見直す方針とのことです。

 

本論からそれますが、子供を育てることが

社会的な負担になっているように感じる議論は、残念な気がします。

安心して子供を産み、育てられる社会になってほしいと願っています。

第9回働き方改革実現会議(2017/3/25)

平成29年3月17日、第9回働き方改革実現会議が開催されました。

 

時間外労働時間の月間の上限設定は、どうやらひと月100時間未満ということで決着しそうです。

一方で、法律でいうところの「休日労働」については、抜け穴があるのではという指摘があるなど、

重要な要素もあり、今後も注視していきたいと思います。

 

ところで、この第9回の会議で、安倍総理は次のような発言をしています。

「残る重要な課題として、長年時間外労働規制の大臣告示の適用除外とされてきた

自動車の運転業務、建設事業の取扱いがあります。…(略)…業界の担い手を確保するためにも、

長年の慣行を破り、猶予期間を設けた上で、かつ、実態に即した形で

時間外労働規制を適用する方向としたいと思います。」

 

実は、三六協定の時間外労働時間の限度基準は、以下の事業又は業務には適用されません。

・工作物の建設等の事業

・自動車の運転の業務

・新技術・新商品などの研究開発の業務

・その他労働基準局長が指定する事業または業務

 

また一段踏み込んだなという印象です。

 

最近は、通販の市場拡大等による運送業の人手不足が連日報道されています。

これは構造的な問題でもあり、その部分の規制強化だけではなく、

社会的な取り組みも必要なのではないかなと感じます。

せめて弊所としては、再配達は発生しないように努めたいと考えています。

2017春闘(2017/3/18)

平成29年の春闘は、3月15日が集中回答日でした。

今年は、4年連続の賃上げが実現されたものの、金額的には前年比で下がっているようです。

 

連合のHPでは、第1回回答集計結果についてのプレスリリースが掲載されています。(以下、一部抜粋)

・平均賃金方式では773組合(昨年対比62組合増)、

 回答額は6,270円(昨年対比71円減)。

・300人未満の中小労組では、回答を引き出した組合は405組合(昨年対比29組合減)、

 回答額は5,139円(昨年対比87円減)。

・非正規労働者の賃上げ(加重平均)は、時給で19.34円(昨年対比0.42円増)、

 月給は4,954円(昨年対比180円減)。
 

また、3月17日に公表された厚生労働省の

「平成28年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査について」では、

大学等の就職内定率が、大学(学部)は90.6%(前年同期比2.8ポイント増)となり、

報道によれば、この時期としては、比較可能な2000年以降で最も高くなったそうです。

 

下記のURLより、厚生労働省ホームページをご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000154442.html

 

全体的な雇用環境が改善されているということを感じる一方で、

労働力不足が、賃金や採用といったところに数字で表れてきていることも感じます。

いわゆる「ヒト」に対するマネジメントが、企業経営にとって一層重要になってきそうです。

平成29年度雇用保険料率の見通し(2017/3/11)

平成29年4月1日以降の雇用保険料率が引き下げられる見通しです。

提出された法案の雇用保険料率は、以下の通りです。

 

●一般の事業        9/1000(昨年度11/1000)

 うち、労働者負担:3/1000、事業主負担:6/1000

 

●農林水産・清酒製造の事業 11/1000(昨年度13/1000)

 うち、労働者負担:4/1000、事業主負担:7/1000)

 

●建設の事業        12/1000%(昨年度14/1000)

 うち、労働者負担:4/1000、事業主負担:8/1000)

 

平成28年度と比較すると、

失業等給付の雇用保険料率は、労働者負担・事業主負担とも1/1000ずつ引き下がり、

雇用保険二事業の保険料率(事業主のみ負担)は、据え置きとなっています。

 

下記のURLより、厚生労働省ホームページをご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html

 

現在の雇用保険財政は余裕があります。

このような面からも、現在の労働市場が売り手市場であることを感じます。

平成29年度協会けんぽの保険料率(2017/3/4)

平成29年度の協会けんぽの健康保険料率及び介護保険料率が、協会けんぽのHPに掲載されています。

東京都の健康保険料率は、9.96%から9.91%へ引き下げられます。

介護保険料率は、1.58%から1.65%へ引き上げとなっています。

 

 これらの保険料率は、一般の被保険者は3月分(4月納付分)より、

任意継続被保険者については4月分から適用となります。


なお、東京近県の協会けんぽの健康保険料率は以下のようになっています。

 埼玉県  9.87%(平成28年度9.91%)

 千葉県  9.89%(平成28年度9.93%)

 神奈川県 9.93%(平成28年度9.97%)


少子高齢化が進み高齢者が増え、また医療の高度化によって医療費は上昇する傾向にあります。

一方で、それを負担する賃金の伸びは医療費の上昇に追い付いていません。

今年の春闘はどうなるでしょうか。

 

また、負担関係の議論はもちろん重要ですが、

医療費を抑制するための地道な努力も欠かせません。


なにより、保険はあくまで保険です。

できれば保険の世話になることなく、皆さまが健やかに生活できることを願っています。

持ち主不明の年金記録(2017/2/25)

先日、行政機関で、何気なくそこにあったパンフレットを手に取りました。

厚生労働省の政府広報で、年金ニュースなるパンフレットでした。

表紙には「年金改革法が成立しました」と記載のあるものです。

ただ実は気になったのは年金改革法ではありません。

 

そのパンフレットの最後のページの、年金記録の確認について教えてください、という項です。

「基礎年金番号に結びついていない持ち主不明の年金記録が約2千万件あります。」

 

いわゆる消えた年金問題です。

このパンフレットは平成28年12月に作成されていました。

久しぶりに見るネタだなとちょっと調べてみました。

 

政府広報オンラインには以下のような記載があります。

「約3,000万件の記録が解明されましたが、現在も約2,100万件の持ち主が判明していません

(平成25年12月現在)。」

 

平成19年には、約5000万件であった持ち主不明の年金記録が、

平成25年末で約2100万件になり、平成28年末で約2000万件になっている。

発覚当初から約10年、平成29年度の厚生労働省予算にも組み込まれてはいるのですが、

やはりちょっと手詰まり感が出ている気がします。

 

もはや報道でも見かけなくなってしまったネタですが。

年金制度は、国民生活の重要な基盤の一つです。

今後も確実で適切な運用を期待します。

時間外労働の上限規制案(2017/2/18)

平成29年2月14日、第7回働き方改革実現会議が開催され、

時間外労働の上限規制についての案が示されました。

 

少し長くなってしまいそうなので、抜粋してご紹介します。

正確には以下のURLをご参照ください。

首相官邸ホームページ(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai7/gijisidai.html

 

<原則>

三六協定により、週40時間を超えて労働可能となる時間外労働時間の限度を、月45時間、かつ、年360時間とする。

上限は法律に明記し、上限を上回る時間外労働をさせた場合には、特例の場合を除いて罰則を課す。

<特例>

①臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、

 上回ることができない年間の時間外労働時間を1年720時間(月平均60時間)とする。

②①の1年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、

 最低限、上回ることのできない上限を設ける。

③月45時間を超えて時間外労働をさせる場合について、労働側のチェックを可能とするため、

 別途、臨時的に特別な事情がある場合と労使が合意した労使協定を義務付ける。

 

どうやら、年間の絶対的上限は720時間とありますが、月間の絶対的上限は言及されていません。

月間の上限設定には、慎重な意見があったようです。

③については、月45時間を超える場合、三六協定以外の別の労使協定が必要というように読めます。

従来の特別条項のような、三六協定内での手続きではないということでしょう。

 

働き方改革実現会議の中では、全体的に合意の方向へ動いているようです。

具体案が出てきたことで、さらに議論が加速するかもしれません。

毎月勤労統計調査平成28年分(速報値)(2017/2/11)

2月6日に厚生労働省が発表した、毎月勤労統計調査(速報値)の平成28年分によると、

実質賃金指数が前年比0.7%増となり、5年ぶりのプラスとなったようです。

 

実質賃金は、賃金の伸びに物価変動の影響を加味したものです。

賃金が上がっても、それ以上に物価が上がれば、実質的な賃金は伸びていない。

賃金が下がっても、それ以上に物価が下がれば、実質的な賃金は伸びている。

というような考え方になります。

 

この実質賃金が上がったということは、生活が少し楽になっているということです。

もちろん統計的な話なので全国民がそのようになっているわけではありません。

おそらくは大企業を中心とした方々になろうかと思います。

 

それでも、4年間下がり続けていた実質賃金減少の流れに歯止めがかかり、

さらにこの流れが中小企業にまで広がってくれば、

日本全体の経済が回復し、さらに多くの方の生活が良くなると考えられます。

 

今年もまた春闘の時期が近づいており、官製春闘なる言葉も聞こえています。

経済の不透明感もいよいよ強まっていますが、

今後もより多くの方の生活が向上することを願います。

「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成28年10月末現在)(2017/2/4)

平成29年1月27日、厚生労働省のHPに

「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成28年10月末現在)が掲載されました。

(出典:厚生労働省HP )http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000148933.html

 

外国人雇用については、雇用対策法に基づき、その雇用管理の改善や再就職支援などを目的として、

その雇入れ・離職時に、すべての事業主にハローワークへの届け出が義務付けられています。

 

これによると、外国人労働者数は1,083,769人で、前年同期比175,873人、19.4%の増加であり、

平成19年に届出が義務化されて以来、4年連続で過去最高を更新したとのことです。

 

産業別の状況としては、製造業が最も多く、外国人労働者数全体の31.2%を占め、

外国人労働者を雇用する事業所全体の23.5%となっています。

一方で、製造業の構成比は前年に比べ減少し、

建設業、宿泊業・飲食サービス業や卸売業・小売業が増加しているとのことです。

 

確かに、飲食店や小売店で海外の方が働いていることに違和感はなくなってきました。

働く人が足りないという現状では、外国人労働者も大きな戦力となっている、

または戦力としていかざるを得ないということなのでしょう。

 

日本は隣国と海で隔てられており、歴史的にも外国人に対する他国とは感覚が異なる気がしますが、

6000万人と言われる労働力人口に対して、外国人労働者が100万人いるということ。

そして、今後も労働力人口は減少していくことを考えれば、

外国人労働者についてもしっかり向き合うべきことなのだろうと思います。

 

参考までに、ハローワークへの届け出については、

雇用保険の被保険者となる者であれば、資格取得届、資格喪失届に当該記載欄があります。

また、被保険者とならない者には、別の様式があります。(厚生労働省HP(下記URL)をご参照ください。)

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/gaikokujin-koyou/07.html

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(2017/1/28)

厚生労働省のHPに、平成29年1月20日に策定された

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

(以下、「ガイドライン」と記載します。)が掲載されています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html

 

もともと、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」

(以下、「基準」と記載します。)というものがありました。

基本的には、その「基準」に内容を追加した形で「ガイドライン」が策定されたようです。

その中で、注目したところを簡単に記載してみます。

 

1.「労働時間の考え方」の項目の追加

そもそも労働時間とは何ぞや、というところを解説した項目が設けられました。

内容自体は、従来の労働時間の考え方が記載されていますが、

厚労省としては、その周知が不十分であることを感じているということでしょう。

 

2.「実際に労働時間を管理する者」の登場

「基準」では、主に使用者と労働者のことが記載されていますが、

その他に「事業場において労務管理を行う部署の責任者」という人物が登場します。

「ガイドライン」では、別項ですが、さらに「実際に労働時間を管理する者」という人物が新たに登場します。

「実際に労働時間を管理する者」に、より注意が必要なのでは、という認識があることを伺わせます。

 

3.「賃金台帳の適正な調整」の項目の追加

「基準」では、「労働時間の記録に関する書類」という表現だけで、具体的な書類は出てきませんでした。

別項では「出勤簿」や「タイムカード」という書類も出てきており、具体性が増しています。

(「基準」の解説パンフレットでは、「出勤簿」や「タイムカード」という言葉が解説欄にありました。)

 

感想としては、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置、が変わったのではなく、

より分かりやすいよう、具体的な解説を入れたガイドラインにしたということだと思います。

長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果の公表(2017/1/21)

平成29年1月17日、昨年4月から9月までに長時間労働が疑われる事業場に対して実施した、

労働基準監督署による監督指導の実施結果が公表されています。

(出典:厚生労働省HP )http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000148739.html
 

1.監督指導の実施事業場:10,059事業場

 このうち、6,659の事業場(全体の66.2%)で労働基準法などの法令違反あり。

 

2.主な違反内容(1.のうち、下記(1)から(3)の法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場)

 (1)違法な時間外労働・休日労働(*)があったもの :4,416事業場(43.9%)

 (2)賃金不払残業があったもの :637事業場(6.3%)

 (3)過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの :1,043事業場(10.4%)

  *違法な時間外労働・休日労働…労働基準法第32条違反の件数

   (36協定なく時間外労働を行わせているもの、36協定で定める限度時間を超えて

    時間外労働を行わせているものなど違法な時間外労働があったものの件数)

 なお、2.(1)のうち、時間外・休日労働のの実績が最も長い労働者の時間数が

 月100時間を超えるものは2,419事業場(54.8%)でした。
 

3.主な健康障害防止に関する指導の状況 (1.のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場)

 (1)過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの :8,683事業場(86.3%)

 (2)労働時間の把握方法が不適正なため指導したもの :1,189事業場(11.8%)


この監督指導は、1か月当たり80時間を超える残業が行われた疑いのある事業場や、

長時間労働による過労死などに関する労災請求があった事業場を対象としています。 

ちなみに前年度の監督対象事業場は、月100時間を超える残業が行われた疑いのある事業場でした。

つまり、対象事業場の範囲が拡大されたということです。

 

昨年も長時間労働について、報道に事欠かない一年でした。

今後も監督対象事業場は拡大していくものと推測されますので、

このような公表内容を参考に、自社での働き方についてご検討いただければ幸いです。

年金分野におけるマイナンバー利用事務に関する周知(2017/1/14)

厚生労働省年金局事業管理課より発せられた

平成28 年12 月20 日付「年金分野におけるマイナンバー利用事務に関する周知のお願い」により、

全国社会保険労務士会では、下記のような内容の周知がなされました。

 

1.健康保険・厚生年金保険者資格取得届の様式変更について

 (1)平成29 年1月以降、健康保険組合管掌の事業主が使用する当該届には、

  基礎年金番号欄に加えて、新たにマイナンバー欄が設けられる様式変更が行われる予定です。

 (2)全国健康保険協会管掌の事業主は、当分の間、当該届について、

  改正前の旧様式を使用することとなります。

 

2.前項の様式変更に伴うマイナンバーの記入について

 (1)健康保険組合へ提出する健康保険の被保険者資格取得届には、

  マイナンバーの記入は必須であり、基礎年金番号の記入は任意となります。

   なお、当分の間、改正前の旧様式を使用することはできますが、

  使用する際は備考欄等にマイナンバーを記入することとなります。

 (2)日本年金機構へ提出する厚生年金保険の被保険者資格取得届には、

  基礎年金番号の記入は必須であり、マイナンバーの記入は任意となります。

 (3)全国健康保険協会へ提出する厚生年金保険の被保険者資格取得届には、

  基礎年金番号の記入は必須であり、マイナンバーの記入は不要となります。

 

3.マイナンバーによる年金相談・照会業務について

 現在、基礎年金番号の提示を受け年金相談・照会業務を行っているところですが、

 平成29 年1月以降は、マイナンバーの提示でも行えるようになります。

 

マイナンバーに関する報道は少なくなっていますが、その利用範囲は徐々に広がっています。

利便性の向上が望まれる一方で、適切な管理体制の必要性を感じます。

年始のご挨拶(2017/1/7)

明けましておめでとうございます。

皆様すでに始動されていることと思います。

弊所も4日から営業しており、年明け1週目は慌ただしく過ごしていました。

 

今年は1月2日に年賀状が配達されませんでした。

コスト削減のため、2004年以来13年ぶりに1月2日の配達を休止したとのことです。

そのことを知らず、2日にもポストを覗いていましたが。

 

さて、昨年の新年のご挨拶のブログでは、

大手百貨店が1月2日を休業日にしたというブログを書きました。

上記のように、今年は日本郵便がその施策を取り、

昨年中には大手飲食店も24時間営業を見直すなどの動きがありました。

 

今年も、1月1日からスーパーに行きました。

3が日の間には、電車に乗って移動し、喫茶店で休憩もしました。

皆さん交代で休めているのかなと思いながらも、

無休で営業していただけることはとても便利で、有難いものでした。

今年も働き方については様々な議論が出るものと思います。

 

弊所としては、今年は新たな挑戦を企画しています。

いろいろな形で皆様のお役に立てるように精進していきたいと思います。

それでは、今年もよろしくお願いいたします。

年末のご挨拶(2016/12/24)

今年も一年、当ブログをご愛読いただき誠にありがとうございました。

さて、今年を振り返ると、年初に軽井沢でのスキーバス転落事故があり、

そして秋になって電通の過労自殺がクローズアップされました。

ちなみに、今年のブラック企業大賞は電通でした。

残念なのは、いずれも事件や事故が起きてから発覚した問題ではなかったということです。

問題があることが分かっているにもかかわらず、有効な対策をとることなく、

人命の損傷につながる事件事故が起きてしまった。

仕事上、長時間労働にならざるを得ないという企業の方とお話をする機会があります。

弊所としてもお手伝いしたいところはあるのですが、

業界構造がボトルネックになることも多く、難しさを感じます。

個々の企業で対策をするには限界があり、業界全体で、

ひいては日本全体で取り組む必要のあることである、とはよく言われることです。

経営者の意識。労働者の意識。そして利用者の意識。

いろいろ言われるところなので、皆様それぞれ意識はあるのだろうと思います。

とはいえ、人の考えはそれぞれで、いっぺんに全部が同じに変わることはないでしょう。

大きな流れが、少しずつでも良い方向に進めばいいなと思います。


それでは、皆様にとって来年も良い年になることを祈念して、ご挨拶とさせていただきます。

ブラック求人の罰則強化との報道(2016/12/17)

12月13日に、第118回労働政策審議会職業安定分科会が開催されました。

 

これに関して、「ブラック求人の罰則強化」との見出しで報道されていました。

「ブラック求人」が何を指しているのかなと思い、厚生労働省のHPを確認してみたところ、

審議会のHPに掲載されている資料2職業紹介等に関する制度の改正について(報告書)というPDFに、

以下のような記載がありました。

 

5 労働条件等の明示、指導監督等

イ 労働条件等の明示義務に係る明示事項について、次の措置を講ずることが適当である。

 (ア)次の内容を明確化すること。

  ① 若者雇用促進法に基づく指針と同様に、固定残業代に係る計算方法、

   固定残業代を除外した基本給の額等を明示しなければならないこと。

 

おそらく主にこの部分を指していると思われますが、上記は全9ページの報告書の一節です。

ななめ読みですが、全体的には、求人情報が適切に提供されないことによる求職者保護のため、

また適切な求人を行う求人者が不当に不利にならないため、規制を強化するという主旨と感じました。

なお、当報告は厚生労働大臣に建議されたものにすぎず、まだ法律になっているものではありません。

 

確かに、求人情報を確認して就職したものの、

実際の労働条件はかけ離れたものだったということはよく聞きます。

特に最近は人手不足、採用難が広く認識される中で、

より良い人材を求めて、求人情報を少しでも良く見せたいという想いがあるのかもしれません。

 

人を雇えば、長いお付き合いになることも十分に考えられます。

求職者、求人者ともに言えることだとは思いますが、

自分をよく見せたいと考えること自体は理解できることです。

お互いに納得できる話し合いができることが大事なのではないでしょうか。

ブラック企業大賞2016ノミネート企業(2016/12/10)

12月1日、第5回となるブラック企業大賞のノミネート企業が発表になりました。

 

今年は以下の10社がノミネートとなっています。(50音順)

  • 株式会社エイジス
  • 株式会社電通
  • 株式会社ドン・キホーテ
  • 株式会社プリントパック
  • 関西電力株式会社
  • 佐川急便株式会社
  • サトレストランシステムズ株式会社
  • 宗教法人仁和寺
  • ディスグランデ介護株式会社(「茶話本舗」FC企業)
  • 日本郵便株式会社

個々のノミネート理由については、ブラック企業大賞HPをご参照ください。

 

ブラック企業大賞はウェブ投票ができます。

そしてその投票状況を確認することができます。

 

報道量で言えば、おそらく群を抜いて電通が多いと思うのですが、

投票状況を確認してみると、日本郵便が現時点でのトップであり、

2位の電通に対し、2倍以上の得票でトップとなっています。

推測ですが、当事者たる被雇用者の多さがその得票数に表れているのかなと思います。

 

その他の件も報道に覚えのあるノミネートが散見されます。

また逆に、今年1月の軽井沢スキーバス事故の会社については、ノミネートされなかったようです。

こういった活動が議論のきっかけとなって、労働環境及び経営環境が改善されることを願います。

 

なお、ウェブ投票の締切は12月22日(木)午後5時、授賞式は12月23日(金・祝)だそうです。

マイナンバー法違反容疑で初の逮捕(2016/12/3)

マイナンバー法違反容疑で、初の逮捕者が出たようです。

 

12月2日、警視庁は、職場の上司のマイナンバー通知カードの情報を不正に取得したとして、

マイナンバー法違反の疑いで会社員を逮捕したと発表しました。

警視庁によれば、マイナンバー法違反の容疑で逮捕者が出るのは全国で初めてとのことです。

 

一方で、資生堂の子会社で42万人分の個人情報が流出したという報道もありました。

クレジットカード番号や有効期限についての情報も、最大56,121件が流出した疑いがあるとのことで、

一部のクレジットカード情報が不正な購入に利用されたと発表しています。

 

12月に入り、年末調整関係のためにマイナンバーを収集している事業主の方も多いと思います。

また、今年10月30日のブログでも記載しましたが、

平成29年1月からは健康保険の各手続きにおいてもマイナンバーが利用されます。

 

マイナンバーは、現時点ではあまり広い範囲では活用されていませんが、

将来的には幅広い分野で活用されることが検討されています。

そしてマイナンバーは基本的に生涯変わりません。

今から情報漏洩のないように、適切な管理を行うことをお勧めいたします。

2016年冬のボーナス見通し(2016/11/25)

平成28年11月16日、第3回「働き方改革実現会議」が開催されました。

その中で、春季労使交渉に向けた賃金引上げの方向性についても議論が行われ、

今年も安倍総理は、少なくとも今年並みの水準の賃上げを期待している、と経済界に賃上げを要請しました。

 

もちろん来年の賃金動向は気になるところなのですが、まずは足元。

冬のボーナスの見通しという記事を読みました。

 

1つは、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのニュースリリースで、

2年ぶりに増加するも、小幅にとどまる(前年比+0.4%)というもの。

もう1つは、第一生命経済研究所のもので、

昨年(2015年)冬に続き、2年連続の減少(前年比▲0.3%)を予想したもの。

 

一方は増加、一方は減少と、別の結論を示しており、面白いなと思ったのですが、

つまりはほぼ前年並みなのかなという印象です。

 

ただ中小企業では、まさに現在進行形で冬のボーナスを考えていらっしゃる企業も多いと思います。

こういった分析を踏まえて、自社ではどうするか、難しいところです。

 

皆様にとって、明るい年末年始が迎えられることを祈念しています。

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