平成30年度労災保険料率等の見通し(2018/1/27)

平成29年12月18日に、労働政策審議会において、

平成30年4月からの労災保険率の改定などを主な内容とした省令案要綱に対し、

妥当とするとの答申が出されました。
 

労災保険率は、厚生労働大臣が業種ごとに定めており、

それぞれの業種の過去3年間の災害発生状況などを考慮し、原則3年ごとに改定しています。
 

労災保険率等は以下のように改定される見通しです。

・業種ごとの労災保険率を改定し、全業種平均で0.2/1000引下げ(4.7/1000→4.5/1000)

 (全業種中、引下げ20業種、引上げ3業種)

・一人親方などの特別加入に係る第2種特別加入保険料率を改定

 (全18区分中、引下げ9区分、引上げ区分無し)

・海外派遣者の特別加入に係る第3種特別加入保険料率は、据え置き(3/1000)


詳細は、下記のURLより、厚生労働省ホームページをご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000188909.html

 

雇用保険料率は、前回ブログ記載のとおり、据え置きの見通しとなっているので、

労働保険料全体では、据え置きまたは若干の引き下げとなるところが多いと思います。

安心して働ける環境が整えば、コスト減にもつながるという表れだと思います。

平成30年度雇用保険料率の見通し(2018/1/20)

平成30年1月12日の労働政策審議会において、

来年度の雇用保険料率を定める告示案要綱が妥当と認められ、

平成30年度の雇用保険料率は、平成29年度の料率を据え置く見通しとなりました。


具体的な保険料率は以下のとおりです。 

●一般の事業          9/1000

 うち、労働者負担:3/1000、事業主負担:6/1000


●農林水産・清酒製造の事業 11/1000

 うち、労働者負担:4/1000、事業主負担:7/1000)


●建設の事業          12/1000

 うち、労働者負担:4/1000、事業主負担:8/1000)


下記のURLより、厚生労働省ホームページをご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000190648.html

年頭の報道では、安倍総理や経団連の榊原会長による

賃上げに関する積極的な発言があり、

経営者の方々の景気の見通しも強気な印象を受けました。


労働者側の雇用環境としては見通しは明るく、

労働保険料の据え置きも予想の範囲内であろうと思います。

むしろ労働力不足の傾向が進むことは間違いないので、

企業側の取り組みの重要性が増してくるでしょう。

裁量労働制の不正適用(2018/1/14)

昨年12月、東京労働局が、大手不動産会社に対し、

裁量労働制を違法に適用し、残業代の一部を支払わなかったとして、

全国4拠点に対し各地の労働基準監督署が是正勧告をした、と発表しました。

 

労働基準法には、裁量労働制として

「企画業務型裁量労働制」と「専門業務型裁量労働制」が定められています。

 

今回、会社側としては「企画業務型裁量労働制」を採用していたつもりでしたが、

その要件を満たしていないと判断されたため、裁量労働制が認められず、

その分未払い賃金が発生したということです。

対象者は約600人ということなので、未払い額はかなりの金額になるものと思われます。

 

裁量労働制については、弊所がお話を伺ったことがある方々の中でも

「うちは裁量労働制だから大丈夫です」というお話をされる方がいらっしゃいました。

 

ただ、適切に実施できているかというと、残念ながら大抵はそうではありません。

法律に則らない形での、言ってみれば自称裁量労働制のところがあったり。

ある程度知識があっても、手続きや運用が適正でなかったり。

裁量労働制の誤った理解によるリスクは、潜在的に結構多いのではないかと思います。

 

裁量労働制のハードルは高く、通常ではなかなか適用できないと考えています。

適切な知識なくして運用すると、働かせ放題のような錯覚に陥ってしまい、

未払い賃金や労働者の健康問題など、大きな労務リスクを抱え込んでしまいます。

裁量労働制の採用に当たっては、十分にご注意ください。

年始のご挨拶(2018/1/6)

明けましておめでとうございます。

 

年末のご挨拶のブログを上げてからも少し慌ただしかったのですが、

弊所もなんとか無事に年を越すことができました。


年明けのニュースを見ていると、景気のいい話が散見されました。

経営者インタビューでは強気の発言が多く、賃上げの言及もありました。

株価も年初から高値をつけて好調のようです。
 

この流れが、中小企業まで行き渡り、

引いては国民全体を潤してくれることを望みます。
 

弊所では、昨年の取り組みではうまく成果が出せず、

今年はまた違う取り組みができればと思案中です。

より良い形で企業経営のお手伝いができるよう、

今年も努めていきたいと思います。
 

それでは、今年もよろしくお願いいたします。

年末のご挨拶(2017/12/24)

今年も一年、当ブログをご愛読いただき誠にありがとうございました。


今年は、本来であれば労働基準法の改正案が審議されるはずだったところ、

衆議院の解散があり、そのスケジュールがずれてしまいました。

またその選挙を受けて、野党は混乱し、与党が大きく勝利しました。


政権が安定していることは悪いことではないと思います。

12月22日には平成30年度予算案が閣議決定されており、

年明け、国会での承認も円滑に進むのではないかと思います。

ただ一方で、憲法や労働基準法を含め、

国会での審議は正常に行われるのだろうかと懸念しています。

是非いろいろな意見に耳を傾けながら、

実効性のある法整備をしていってもらいたいと願っています。

弊所としては、社会保険労務士事務所本来の業務を誠実に行うことで、

企業の健全な運営のお手伝いを進めていきたいと思います。

また一方では、労務管理に限らず、

より多角的な側面から企業経営を支えられるよう、

業務の幅を広げていきたいと考えています。

それでは、皆様にとって来年も良い年になることを祈念して、

年末のご挨拶とさせていただきます。


「マイナンバー等確認リスト」(2017/12/17)

平成29年12月中旬以降、日本年金機構より会社宛に、

「マイナンバー等確認リスト」という書類が送られてくるかもしれません。

 

日本年金機構では、来年以降のマイナンバーの活用準備のため、

マイナンバーの収録・確認作業を行っています。

ただし、日本年金機構が管理している情報(氏名、性別、生年月日、住所)と

住民票の情報が相違しているなどの理由で、マイナンバーの確認ができない被保険者がいます。

 

そういった方々の確認のための書類が「マイナンバー等確認リスト」です。

よって、該当者がいない会社には送られてきません。

なお、「マイナンバー等確認リスト」に関する問い合わせのため、

平成29年12月20日以降に照会ダイヤルが設置されるとのことです。

 

日本年金機構からのお知らせ(日本年金機構HPより)

http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyonushi/oshirase/20140627.files/zenkoku.pdf

 

ちなみに、平成30年1月からは、預貯金口座に関わる情報と

マイナンバーを紐づけて管理すること(いわゆる「預貯金口座付番」)が義務付けられています。

従来からの税・雇用保険に加え、社会保険と預金口座の紐づけが行われることになります。

マイナンバーの取り扱いには、より慎重さが求められることになるでしょう。

平成30年公認会計士試験第I回短答式試験(2017/12/10)

平成29年12月10日、平成30年公認会計士試験第I回短答式試験が行われました。

そして弊所代表が、その試験を受験してきました。

 

公認会計士は、一般にはあまり馴染みのない資格かもしれないのですが、

会計に関するプロであり、上場企業等の監査業務を独占業務としています。

 

弊所代表は、もともと会社の経理を務めたこともあり、

また、日商簿記1級や税理士の簿記論などの会計系の資格も有しています。

そのため、社労士事務所としては稀だと思いますが、一部経理サービスも提供しています。

(経理サービスのみのご提供はしていません。)

 

企業経営は、人事労務分野のみで完結するものではありません。

ヒト・モノ・金・情報などと言われるように、様々な経営資源のマネジメントが重要です。

そして企業の状況次第では、それぞれ非常に高度なレベルのものが必要というよりは、

広く、またバランスよく実践していくことが大切になります。

 

弊所としては、これらを包括的にお手伝いする事業を目指しています。

 

今回受験した公認会計士は非常に難易度の高い国家資格であり、

短答式試験はその複数段階ある試験の単なる一次試験です。

それが実を結ぶかは分かりません。

 

しかしながら、企業経営を包括的にお手伝いするという目標に向けて、

今後とも鋭意努力していきたいと思います。

ブラック企業大賞2017ノミネート企業(2017/12/2)

平成29年11月27日、第6回ブラック企業大賞のノミネート企業が発表になりました。


今年は以下の9社がノミネートとなっています。

 •ゼリア新薬工業株式会社

 •株式会社いなげや

 •パナソニック株式会社

 •新潟市民病院

 •日本放送協会(NHK)

 •株式会社引越社・株式会社引越社関東・株式会社引越社関西

 •大成建設株式会社・三信建設工業株式会社

 •大和ハウス工業株式会社

 •ヤマト運輸株式会社

個々のノミネート理由については、ブラック企業大賞HPをご参照ください。


昨年は電通の事件が社会に大きなインパクトをもたらしました。

今年はそれほどのインパクトは無かったかもしれませんが、

やはり報道された企業のノミネートが見られます。

ブラック企業大賞はウェブ投票ができ、その投票状況を確認することができます。

ウェブ投票の締切は平成29年12月22日(金)午後5時、

授賞式は12月23日(土・祝)とのことです。

高所得の年金受給者の増税検討(2017/11/25)

平成29年11月22日、自民党の税制調査会は、平成30年度税制改正に向けた議論を始めました。

 

働き方や世代の違いによる所得税の不公平感をなくすため、

会社員や年金受給者の控除を縮小する案が出ているということです。

 

そのうちの一つですが。

例えば、会社の役員などで高い所得があり、かつ年金も受給している方には、

もう少し負担をしていただこうという案があるようです。

 

他にも議論されていますので、税金が足りないというだけのことではないとは思うのですが、

こういう話を聞くと、そのように考えてしまいます。

 

これまで消費税の増税が2回延期されました。

そして先だっての衆議院選挙では、増税する消費税の使い道を変える、というお題目が提起され、

借金返済に充てることから、保育や教育に財源をシフトするということになりました。

日本の借金大国たる現実は変わらず、やはり財政健全化は困難なのでしょう。

 

企業や人の設備投資や消費意欲が上がれば、

税率を上げなくても税収は上がるはずですが、それが進まない。

しょうがないので、取れるところから取ろうとする。

致し方ないところですが、あまりいい流れではないような気がします。

2017年冬のボーナス見通し(2017/11/19)

そろそろ年賀状の準備をしたり、来年のカレンダーを揃えている方も多いかと思います。

弊所はなかなかそこまでたどり着いていません。


さて、年末が見えてきたところで、冬のボーナスの見通しも気になるところかと思います。

中小企業では、まさに冬のボーナスを検討している時期でしょう。


少し調べてみたところ、

例えば、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのニュースリリースでは、

2017年冬のボーナスは、前年比+0.6%と予測しています。

第一生命経済研究所も、前年比+0.8%と予測しており、

みずほ総合研究所でも、前年比+1.1%と予測しています。
 

昨年は、増加の見込みを出すところと、減少の見込みを出すところがありましたが、

今年は、どこも小幅ながら3年ぶりに増加するとの予測です。

その観点からは、日本全体が僅かながらも上向きになったのかもしれません。


ボーナスが出るとか。

それが昨年よりも上がるというのは、

その額に差があったとしても、嬉しいものだと思います。

 

皆様にとって、明るい年末年始が迎えられることを祈念しています。

マイナンバーによる日本年金機構と自治体の情報共有(2017/11/11)

平成29年11月10日、政府は閣議で日本年金機構と自治体がマイナンバーを使って、

個人情報を共有できるようにする政令を閣議決定したそうです。

来年1月から試行を始め、3月以降順次実施していく方針とのことです。

 

日本年金機構では、平成27年の個人情報流出問題を受け、その利用を延期していました。

今年1月からは、マイナンバーによる年金相談や照会を受け付けており、

そして来年から自治体との情報連携が始まることになります。

 

これによって、今まで提出する必要のあった一部書類の提出が不要になるなど、

マイナンバーのメリットが少しずつ目に見えてくるかもしれません。

 

しかし、日本年金機構の情報管理体制は改善されたのでしょうか。

上記閣議決定の報道は目にしたのですが、

マイナンバーの注目度自体が下がるにつれ、根本的な問題については目にすることが無く。

単にほとぼりが冷めたから、のような対応ではないことを願います。

平成29年度過重労働解消キャンペーン(2017/11/4)

今年も、厚生労働省では「過重労働解消キャンペーン」を実施しています。

実施期間は、平成29年11月1日(水)から11月30日(木)までの1か月間です。


主な実施事項のうち「重点監督の実施」について、以下のように公表されています。

その内容は昨年と同様のようです。

ア.監督の対象とする事業場等

 ①長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場等

 ②労働基準監督署及びハローワークに寄せられた相談等から、

  離職率が極端に高いなど若者の「使い捨て」が疑われる企業等

イ.重点的に確認する事項

 ①時間外・休日労働が36協定の範囲内であるか確認し、法違反が認められた場合は是正指導

 ②賃金不払残業がないかについて確認し、法違反が認められた場合は是正指導

 ③不適切な労働時間管理については、労働時間を適正に把握するよう指導

 ④長時間労働者については、医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられるよう指導

ウ.書類送検 重大・悪質な違反が確認された場合は、送検し、公表

厚生労働省ホームページ 過重労働解消キャンペーンhttp://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign.html

ポスターやパンフレットもHPに掲載されていますし、

ベストプラクティス企業への職場訪問の実施なども行うようです。

正直、昨年そのような取り組みがあったか、記憶が定かではないのですが、

単に監督を強化するだけではなく、やり方を模索しているのだろうなと思います。

衆議院選挙の結果(2017/10/28)

先日行われた衆議院選挙は、数字的には与党の圧勝となりました。

その内容に関しては、野党側の失敗であるとして、厳しい見方もありますが、

少なくとも政権が維持されたことは間違いありません。

 

ここで、自民党の政策BANKというHPを見てみました。

このHPには自民党の政策が掲載されています。

 

その中の「働き方改革」という項で、キーワードを少し拾ってみました。

「長時間労働是正」「同一労働同一賃金」「最低賃金1000円目指す」「柔軟で多様な働き方」など。

改めて、従来の方向性を再認識できます。

 

とはいえ、これらのキーワードを見ても、

働くという分野においては、どこの政党でも大きな差は無かったように思いますが。

 

いずれにせよ、従来の方向性でまた進んでいくことになりました。

改めて情報収集を心がけながら、業務に生かしていきたいと思います。

第48回衆議院議員総選挙(2017/10/21)

明日(10/22)は、第48回衆議院議員総選挙です。

皆さま投票はお済みでしょうか。

 

期日前投票の投票者が、衆院選で制度が導入された2005年以降で最多とのことです。

その原因については、制度が浸透したからだとか。

当日の悪天候が予想されるためだとか。

選挙権が18歳以上に引き下げられたためだとか。

諸々あるようです。

 

いずれにせよ、できるだけ多くの方が投票し、国会議員を選ぶ。

それが日本の民主主義にとって、望ましことだと思います。

 

確かに、かなりの悪天候が予想されるので、当日の投票率は落ちるのでしょう。

そして、選挙権が18歳以上に引き下げられた初の衆議院選挙。

若い方の投票率の低さは、若年層への政策を後退させてしまいます。

ぜひ、投票に行っていただきたいなと思います。

 

最終的にどの程度の投票率になるのか。

そして国会の状況がどのように変化するのか、又は変化しないのか。

弊所は社会保険労務士事務所です。

働き方改革や、税と社会保障の一体改革など、国の政策は業務に直結します。

 

離合集散の政界再編に注目されますが、

やはり良い国政が実現されることを願ってやみません。

海外法人を悪用した社会保険料逃れ(2017/10/14)

9月末ごろのネットニュースで、海外法人を悪用した社会保険料逃れの記事が流れていました。

 

仕組みは次のようになっていたようです。

まず、海外に法人を設立し、日本で採用した従業員をその海外法人に転籍させます。

その海外法人から日本の会社に出向している形をとって、双方の会社から給与を支給します。

日本の会社からは低額の給与を支給し、上乗せ部分を海外法人から支給することで、

納めるべき保険料を著しく低く抑えていたということです。

 

厚生労働省は、遡って徴収できる2年分の保険料を支払うよう求め、

その会社は、指摘に応じ保険料を分割納付しているということです。

また、厚生労働省はこの事案を受けて、一定のケースについて、

日本年金機構に対して報酬調査の徹底を指示しました。

 

そして、この方法が、どうも社会保険労務士から提案されたという話があるようです。

確かに、制度を理解した上での方法なので、事実とすれば残念です。

 

この案件は、目先の利益に走り、結果会社の危機を招いたという典型例に思えます。

会社としては、低い社会保険料の前提で資金計画を立てていたことでしょうから、

資金繰りに相当大きな影響をもたらしたのではないかと思います。

 

もし弊所がこういった相談を受けたら、どうするだろうと想像しました。

会社経営をお手伝いするということは、時に厳しいお話をせざるを得ない。

場合によっては断る、そういった覚悟が必要であると改めて感じました。

電通事件の判決(2017/10/9)

平成29年10月6日、東京簡易裁判所は、労働基準法違反の罪に問われた電通に対し、

求刑通り罰金50万円の判決を言い渡しました。

電通は控訴せず、判決は確定する見通しとのことです。

 

人命が失われているのに、罰金50万円は、感覚的にどうにも腑に落ちないのですが、

問われたことは労働基準法違反なので、妥当であるという意見は理解できます。

 

また同日には、政府が過労死等防止対策白書を閣議決定しています。

それによると、2016年度に労災認定された過労死や過労自殺は191件であり、

近年は年間200件前後で推移しているとのことです。

 

繰り返しになりますが、人命が失われています。

しかも労災認定された件数だけで年間約200件です。

もはや明確に一過性のものではなくなっています。

 

労働基準法の厳罰化という意見もあるようですが、

過労死や過労自殺は、長時間労働だけが原因ではないので、

長時間労働の問題とは別に、人の心身を害した場合は、

従来の労働基準法違反とは異なる対応を考えても良いように思います。

 

もちろん、罰の強化を願っているわけではありません。

そのような事件が起きないこと、せめて少なくなることを願っています。

労働基準監督業務の民間活用(2017/9/30)

今年の5月に、第3回「労働基準監督業務の民間活用タスクフォース」が行われ、

その取りまとめの資料が内閣府のHPで公表されています。

要は、労働基準監督官が少ないので、民間を活用したらどうだろうかという議論の資料です。

 

同資料によれば、近年の労働基準監督業務は、

総事業場数に対する定期監督を実施した事業場数の割合が3%程度にとどまっている一方で、

定期監督を実施した事業場数のうち違反事業場数は約7割と、高い割合で推移しています。

 

また、監督官の数は、日本では雇用者1万人当たりで0.62人となっていますが、

ILO(国際労働機関)が求めている、1万人当たり1人という水準に達しておらず、

ドイツ1.89人、イギリス0.93人、フランス0.74人などと比べると低い数値です。

 

確かに、3%という実施率は低いと言わざるを得ません。

しかも違反率が高いので、監督行政の強化は避けられないように思います。

 

ただ一方で、行政指導を民間に委託することには、疑問もあります。

本旨たる労働者の保護が図られるのか、癒着や行政の歪みなどが起きないだろうか。

公権力の一部を民間が持つことによるリスクは、これも避けられない気がします。

 

シンプルに、人手不足ならば、行政の増員は望めないものだろうかと思います。

労働基準監督官の定員数は、一定の増加をしているそうなのですが、でも足りない。

ではやはり、民間委託ということになるのでしょうか。

 

大切なことは、働くことで身体生命や生活が脅かされない社会を築くことと考えます。

人手不足解消の方策も、その観点から議論が進むことを願います。

電通事件の初公判(2017/9/24)

女性の新入社員が過労自殺したことで社会問題となった電通の違法残業事件について、

9月22日に東京簡易裁判所で初公判が行われ、即日結審しました。

判決は来月6日とのことです。

 

この事件では、当初検察は略式起訴をしましたが、

東京簡易裁判所が略式命令不相当として、正式な裁判となるという異例な経緯がありました。

公開の法廷でこの事件が扱われたことは、改めてとても有意義だったと思います。

 

電通は、過去にも重大な過労自殺事件を起こしており、

それ以降も、大きく報道はされていなくても、是正勧告などを重ねて受けてきた会社です。

電通社長が法廷で述べた労働改革を実行する旨の発言に対して、

被害者母親の「にわかに社長の言葉を信じることはできない」という発言も、もっともです。

 

この裁判を一つの契機として、罰則付き時間外労働の上限規制の議論が行われました。

秋の臨時国会では、この改正を盛り込んだ労働基準法改正案が審議されるはずでした。

また、高度プロフェッショナル制度の創設など、

現政権の掲げる働き方改革についても、審議されるはずでした。

 

ところが、どうやら衆議院の解散となりそうな様子です。

国会で審議されないことは残念です。

ただし、実の無い審議で法案が成立するのも好ましいとは思いませんが。

 

なんにせよ、働くことで人が死ぬようなことがあってはならない、そう思います。

国レベルでも、より多くの議論がなされることを期待します。

厚生年金保険料の変更(2017/9/18)

厚生年金保険料率の変更の時期となってきました。

厚生年金保険の保険料率は、平成29年9月分(10月納付分)から

18.30%(折半9.15%)となります。(一般被保険者)

 

現在、厚生年金の保険料率には「保険料水準固定方式」が導入されています。

これは、将来の保険料水準を固定したうえで、給付水準を調整する仕組みです。

この仕組みにより、厚生年金の保険料率は、平成16年から段階的に引き上げられてきました。

その引き上げが、今年9月で終了することになります。

 

詳しくは、下記のURLより厚生労働省のHPをご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000175945.html

 

一方で、年金の財源として考慮されてきた消費税増税は先延ばしになった状態です。

また急速に進む少子高齢化によって、年金財政が不安視されていることは否めません。

 

政府は、賃金と物価の上昇に苦慮しているところだと思いますが、

最近はあまり年金の話を国政の場で聞かない気がします。

年金も国民生活及び日本経済を支えるうえで重要な役割を果たしています。

 

衆議院の解散という噂がささやかれているようですが、

この厚生年金保険料の引き上げが終わるこのタイミングで、

改めて税と社会保障の一体改革の話が建設的に進むことを願います。

平成29年度地域別最低賃金の改定額答申(2017/9/10)

厚生労働省のHPでは、平成29年度の地域別最低賃金の改定状況が公表されています。

平成29年9月10日現在で、45の都道府県の地域別最低賃金が掲載されています。

 

主な東京近県では以下のような最低賃金時間額となっています。

・東京  958円(平成28年度 932円) 発効年月日:平成29年10月1日

・埼玉  871円(平成28年度 845円) 発効年月日:平成29年10月1日

・千葉  868円(平成28年度 842円) 発効年月日:平成29年10月1日

・神奈川 956円(平成28年度 930円) 発効年月日:平成29年10月1日

 

詳しくは、下記のURLより厚生労働省のHPをご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

 

上記4都県では、答申通りの26円の引き上げです。

実際、近隣での求人募集を見ていると、時給1000円以上のものがほとんどです。

法規制というよりは、人手不足で時給をあげざるを得ないのではないかなと思います。

 

すでに9月に入っており、発効年月日までひと月を切っています。

労務関係のご担当者様はご留意ください。

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