厚生年金保険料等の納付猶予の特例(2020/5/2)
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業主について、
令和2年5月1日より、厚生年金保険料等の納付猶予の特例が実施されました。
もともと猶予の制度はあったのですが、元来の制度では担保の提供が必要であったり、
猶予の期間も延滞金がかかるなどの使いにくい点がありました。
今回の特例では、担保の提供が不要になり、延滞金もかからないこととなりました。
ただし、あくまで猶予であって免除ではなく、最終的には納付が必要です。
対象となる事業所は、
①新型コロナウイルスの影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、
事業等に係る収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること
②厚生年金保険料等を一時に納付することが困難であること
など、いくつかの条件を満たす事業所となります。
なお、ここで言う「厚生年金保険料等」とは、日本年金機構に納付すべき以下の保険料です。
・厚生年金保険料
・健康保険料(協会けんぽのみ)
・介護保険料(協会けんぽのみ)
・子ども・子育て拠出金
また期間としては、
令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する厚生年金保険料等が対象となっており、
既に納期限が過ぎている厚生年金保険料等についても、遡って特例を利用できるとのことです。
詳細は日本年金機構の以下のHPよりご確認ください。
・新型コロナウイルス感染症の影響により厚生年金保険料等の納付が困難となった場合の猶予制度
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2020/202003/20200304.html
・厚生年金保険料納付猶予相談窓口
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2020/202004/20200422.html
上記相談窓口に電話で確認したところ、
この手続きは、直接的に社会保険料の納付に関するものであるため、
社会保険労務士でも代行は「不可」とのことでした。
(ちなみに電子申請もありません)
申請書には財務状況を記載する必要があり、確かに社労士は不向きかもしれません。
ただ準備する書類はさほど多くなく、また根拠資料の準備が難しい場合でも、
日本年金機構の方が聞き取りをしながら対応することも想定されているようですので、
検討する価値のある制度ではないかと思います。
申請から承認まではある程度の時間がかかるとのことであり、
申請した月にすぐに猶予されるというわけにはいかないようですので、
もし利用されるのであれば早めの対応をお勧めします。