新型コロナウイルスと就業制限(2020/2/2)
令和2年1月27日、厚生労働省は新型コロナウイルス感染症を、
感染症法上の「指定感染症」に指定しました。
さらにその施行日について、当初は2月7日としていましたが、2月1日に前倒しとなりました。
会社の就業規則にも、病者等に対する就業禁止等が定められていることがあります。
一般的には、労働安全衛生法や労働安全衛生規則に基づいて作成されていることと思います。
労働安全衛生法第六十八条(病者の就業禁止)
事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかつた労働者については、
厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。
労働安全衛生規則第六十一条(病者の就業禁止)
事業者は、次の各号のいずれかに該当する者については、その就業を禁止しなければならない。
ただし、第一号に掲げる者について伝染予防の措置をした場合は、この限りでない。
一 病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかつた者
二 心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかつた者
三 前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかつた者
2 事業者は、前項の規定により、就業を禁止しようとするときは、
あらかじめ、産業医その他専門の医師の意見をきかなければならない。
実は感染症法上の就業制限と労働安全衛生法上の就業制限は直接リンクしていません。
そしてこれらは、基本的に感染した者への対応になります。
働く場としてまず問題になってくるのは、感染が判明した者というよりは、
感染の疑いがある者やいわゆる濃厚接触者などへの対応が多いのではないかと思われます。
これらについては、就業規則の中で、報告義務を定めておいたほうが良いかもしれません。
また、労働安全衛生法には健康診断の規程もあり、
就業規則もそれに基づいて定めているのが一般的だと思われますが、
この場合、今回のケースのような健康診断は定めていない可能性があるのでご注意ください。
実際の対応としては、欠勤や有給でお休みをとっていただくことはもちろんですが、
特別休暇や休職規定、在宅勤務制度などがあれば、より柔軟な対応を取ることも可能でしょう。
一方で、会社側から不就労の要請をする場合には休業手当の問題も出てきます。
また、人権に対する配慮も必要です。
感染症は一つが終息しても、またいつか別のものが発生します。
これを機に社内のルールを見直しても良いかもしれません。
そうは言っても病気にならないのが最善です。
皆さま気を付けてお過ごしください。