賃金の請求権の消滅時効の延長(2020/1/17)
令和2年1月10日、厚生労働大臣が労働政策審議会に諮問した
「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」について、
労働政策審議会の労働条件分科会で審議が行われ、答申が行われました。
その内容は、主に、労働者の賃金(退職手当を除く)の請求権の消滅時効を原則5年間に延長し、
ただし経過措置として、当面の間は3年間とするというものです。
詳細は以下の厚生労働省のHPをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08856.html
現在の賃金の請求権の消滅時効は、2年間とされています。
一方で、平成29年の民法改正によって債権の消滅時効に関するルールが見直され、
消滅時効期間は原則として5年間とされました。
民法上で原則5年間となったにも関わらず、
労働基準法でそれを下回る2年間としているのは、どうなのか、ということで、
かねて審議が行われており、その答申が出たということになります。
この改正は、今年の4月1日から施行されることとなっています。
この年末年始には、セブンイレブンの約5億円もの未払い賃金の報道がありましたが、
今後、賃金債権の消滅時効が2年間から3年間、そして将来的に5年間になることで、
未払い残業代などへのインパクトはかなり大きくなります。
もっとも、適正な勤怠管理、適正な給与計算が行われていれば、支障はないのですが、
適切にやっていると思い込んでいる会社も多いので、
まずは適法な給与計算についての知識を持っていただきたい、と願うところです。