裁量労働制の不正適用(2018/1/14)
昨年12月、東京労働局が、大手不動産会社に対し、
裁量労働制を違法に適用し、残業代の一部を支払わなかったとして、
全国4拠点に対し各地の労働基準監督署が是正勧告をした、と発表しました。
労働基準法には、裁量労働制として
「企画業務型裁量労働制」と「専門業務型裁量労働制」が定められています。
今回、会社側としては「企画業務型裁量労働制」を採用していたつもりでしたが、
その要件を満たしていないと判断されたため、裁量労働制が認められず、
その分未払い賃金が発生したということです。
対象者は約600人ということなので、未払い額はかなりの金額になるものと思われます。
裁量労働制については、弊所がお話を伺ったことがある方々の中でも
「うちは裁量労働制だから大丈夫です」というお話をされる方がいらっしゃいました。
ただ、適切に実施できているかというと、残念ながら大抵はそうではありません。
法律に則らない形での、言ってみれば自称裁量労働制のところがあったり。
ある程度知識があっても、手続きや運用が適正でなかったり。
裁量労働制の誤った理解によるリスクは、潜在的に結構多いのではないかと思います。
裁量労働制のハードルは高く、通常ではなかなか適用できないと考えています。
適切な知識なくして運用すると、働かせ放題のような錯覚に陥ってしまい、
未払い賃金や労働者の健康問題など、大きな労務リスクを抱え込んでしまいます。
裁量労働制の採用に当たっては、十分にご注意ください。