海外法人を悪用した社会保険料逃れ(2017/10/14)
9月末ごろのネットニュースで、海外法人を悪用した社会保険料逃れの記事が流れていました。
仕組みは次のようになっていたようです。
まず、海外に法人を設立し、日本で採用した従業員をその海外法人に転籍させます。
その海外法人から日本の会社に出向している形をとって、双方の会社から給与を支給します。
日本の会社からは低額の給与を支給し、上乗せ部分を海外法人から支給することで、
納めるべき保険料を著しく低く抑えていたということです。
厚生労働省は、遡って徴収できる2年分の保険料を支払うよう求め、
その会社は、指摘に応じ保険料を分割納付しているということです。
また、厚生労働省はこの事案を受けて、一定のケースについて、
日本年金機構に対して報酬調査の徹底を指示しました。
そして、この方法が、どうも社会保険労務士から提案されたという話があるようです。
確かに、制度を理解した上での方法なので、事実とすれば残念です。
この案件は、目先の利益に走り、結果会社の危機を招いたという典型例に思えます。
会社としては、低い社会保険料の前提で資金計画を立てていたことでしょうから、
資金繰りに相当大きな影響をもたらしたのではないかと思います。
もし弊所がこういった相談を受けたら、どうするだろうと想像しました。
会社経営をお手伝いするということは、時に厳しいお話をせざるを得ない。
場合によっては断る、そういった覚悟が必要であると改めて感じました。